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TSMC、2022年の設備投資を440億ドルに増額へHPCとスマホ向け半導体が需要をけん引(1/2 ページ)

TSMCは再度、設備投資を増額する計画だ。同社は今後数年間で最大20%の需要増が見込めると考えており、この需要に対応するため、2022年中に440億米ドルもの投資を計画している。

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 TSMCは再度、設備投資を増額する計画だ。同社は今後数年間で最大20%の需要増が見込めると考えており、この需要に対応するため、2022年中に440億米ドルもの投資を計画している。

TSMC生産能力は、「2022年を通じて逼迫した状態が続く」

 HPC(高性能コンピューティング)とスマートフォンに使用される半導体は、それぞれ2021年第4四半期の売上高の約40%を占め、TSMCの需要をけん引している。自動車やIoT(Internet of Things)など、TSMCが情報を提供しているアプリケーションセグメントは全て、同四半期に成長を記録した。

 TSMCのCEO(最高経営責任者)を務めるC.C. Wei氏は、2022年1月13日に四半期決算を発表するために開催した電話会議で、「当社の生産能力は、2022年を通じて逼迫した状態が続くと予想される。サプライチェーンは引き続き供給を確保する必要があるため、過去の水準よりも高いレベルの在庫を維持すると予想される」と述べた。


2021年第4四半期売上高のプラットフォーム別割合[クリックで拡大] 出所:TSMC

 1年以上前に明らかになった半導体不足は、オンラインで在宅勤務やゲームをする人が増えていることから、2022年も続く可能性が高い。この傾向は、半導体不足の発生を予想できなかった世界中の自動車メーカーや電子機器メーカーの成長を圧迫し続けている。

 TSMCは2022年の設備投資を、2021年の300億米ドルから50%も増額することを目指している。それに加えて、今後数年間の粗利予測を当初の50%から53%に引き上げた。

競争激しい28nmでも「受注減は考えにくい」

 TSMCは、5nmや3nmなどの先端ノードの生産能力を拡張するだけでなく、レガシーノードである28nmの生産も増やす計画だ。先端ノードに関しては、(少なくとも現時点では)ライバルはSamsung Electronicsだけであるのに対し、レガシーノードは、中国のSMIC(Semiconductor Manufacturing International Corporation)や台湾のUMC(United Microelectronics Corporation)、米国に本社を置くGlobalFoundriesなど、さまざまな競合ファウンドリが存在する。

 投資調査会社であるSanford C. Bernsteinでアナリストを務めるMark Li氏は米国EE Timesに提供したレポートの中で、「成熟したノードは競争が激しいが、弱小ファウンドリーが相次いで値上げしたことで、TSMCは他社と比べてより安価で優れた半導体を提供するファウンドリーとしての地位を獲得した。そのため、状況が変わっても、顧客がTSMCへの注文を削減するとは考えにくい」と述べている。

 Wei氏によると、TSMCは、成熟したノードにおいては、顧客と密接に連携して特殊技術を開発する戦略を取っているという。同氏は、「5G(第5世代移動通信)やHPC、電子機器に搭載される半導体の増加といった業界トレンドが需要をけん引している」と述べている。

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