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2050年までの世界半導体市場予測 第3弾 〜30年後もスイートスポットは28nmか湯之上隆のナノフォーカス(46)(2/5 ページ)

収束のメドが立たない半導体不足。本稿では、特に足りないのは28nmの半導体であることを以下で論じる。さらに本稿の最後に、1年前にも行った「2050年までの世界半導体市場予測」を再び試みたい。

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2021〜2022年にファウンドリーのキャパシティが増えたテクノロジーノードは?

 図2に、2021年と2022年における世界のファウンドリーのテクノロジーノード別の月産キャパシティの増分を示す。2021年に5nmが月産70K増え、2022年に3nmが月産90K増えると予測されているが、これらのほとんどがTSMCの増加分であり、しかもその主要な用途は米Appleの「iPhone」用アプリケーションプロセッサ(AP)であろう。


図2:世界のファウンドリーのテクノロジーノード別月産キャパシティの増加分[クリックで拡大] 出所:Joanne Chiao(TrendFore),“Wafer Shortages Drives the General Growth of Foundry Capacity in 2022”,Memory Trend Summit 2022“の発表を基に筆者作成

 それ以外に目を向けると、2021年は55/65/90nmのレガシー半導体が月産80K増えている。そして、2022年は、22/28nmが月産75K増えると予測されている。ここで、ファウンドリーにとっては、22nmは28nmの改良品であり、基本的に28nmと同じである。

 従って、上記の疑問は、「なぜ、2022年にファウンドリーで28nmのキャパシティが最も増えるのか?」と書き直すことができる。そして、この理由は3つある。

多くの電子機器用半導体が28nmに集中する理由

 28nmの半導体には、次のユニークな特徴がある。

  1. 28nmはプレーナ型トランジスタを使う最後の世代である(16/14nmからFinFETになる)
  2. Self-Aligned Double Patterning(SADP)は使わない(FinFETからSADPを駆使することになる)
  3. ルネサス エレクトロニクスなどのIntegrated Device Manufacturer(IDM)がこの世代からファウンドリーへ生産委託する

 28/22nmと16/14nmの間には、性能も上がるがコストも上がるという、大きな壁がそびえ立っている。AppleのiPhoneやHigh Performance Computing用には、少々コストが上がってもSADPを駆使したFinFETを使う動機があるが、クルマを含めた多くの電子機器は、それほど高性能は必要としない。性能としては28nmで十分であり、むしろコストパフォーマンスに優れた28nmを積極的に使いたいのである。その結果、図3に示すように、多くの電子機器用の半導体が28nmに集中することになった。


図3:半導体のテクノロジーノードとトランジスタの構造(28nmに多くの電子機器用の半導体が集中している)[クリックで拡大] 出所:Joanne Chiao( TrendFore),“Wafer Shortages Drives the General Growth of Foundry Capacity in 2022”,Memory Trend Summit 2022“の発表を基に筆者作成
  • ノートPCのWi-Fi用システムLSI(System on Chip、SoC)、Timing Controller(TCONと略す)
  • タブレットのSoCやNANDコントローラー
  • テレビのSoC、TCON、接続用半導体(Connectivity)
  • ルーターのWi-Fi用SoC
  • スマートフォン用のSoC(エントリーレベル)、通信半導体(RF)、ディスプレイ駆動用IC(Display Drive IC、DDI)、CMOSイメージセンサー(CMOS Image Sensor、CIS)のロジック半導体、顔認証などに使うイメージシグナルプロセッサ(Image Signal Processor、ISP)、NANDコントローラー
  • クルマ用MCU(Micro Controller Unit、通称マイコン)
  • ゲームコンソールのSoC、MCU、NANDコントローラー
  • ウェアラブルデバイスのMCU、ワイヤレスイヤフォン用のTrueWireless Stereo(TWS)、ASIC(特定用途向けロジック)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、接続用半導体(Connectivity)

 28nm(改良品の22nmを含む)の半導体を数え上げたらきりがない。これら28nmの半導体の需要が、コロナ禍で急拡大した。そして、これら28nmは、ほとんどがファウンドリーへ生産委託されている。

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