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界面の魅力と日本半導体産業の未来 〜学生諸君、設計者を目指せ!湯之上隆のナノフォーカス(47)(5/7 ページ)

今回は、「電子デバイス界面テクノロジー研究会」の歴史と、同研究会が行った、半導体を研究している学生48人へのアンケート結果を紹介する。アンケート結果は、非常に興味深いものとなった。

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世界半導体売上高ランキングの上位企業

 図13に、2000年以降の世界半導体売上高トップ11の企業を示す。2000年頃に4社あった日本の上位企業が、次第にランキングが下がり、さらにランクインする企業数が減っていく。2021年は、1社も日本企業はランクインしなかった。それと同様に、黄色で示した欧州企業も、ランクが下がり、企業数も減少し、2020年以降は1社もランクインしていない。


図13:2000年以降の世界半導体売上高ランキングの上位企業[クリックで拡大] 出所:Gartner、IC Insights、IHS、電子ジャーナル『半導体データブック』のデータなどを基に筆者作成

 一方、2010年以降は、Intel、Samsung、TSMCがトップ3を独占するようになり、この3社をビッグ3と呼ぶようになった。また、2008年に米国のファブレスのQualcommがランクインしたのを契機に、青枠で囲ったファブレスが多数ランクインしてくるようになる。

 直近数年のトレンドでは、売上高ランキングの上位企業は、Intel、韓国のメモリメーカー2社(SamsungとSK hynix)、ファウンドリーのTSMC、そして多くのファブレスが占めている、と言える。

減り続けるIDMと増え続けるファブレス

 図13を基に、2000年以降について、売上高上位を占める半導体メーカーの形態(垂直統合型のIDM、ファウンドリー、ファブレス)の推移をグラフにしてみた(図14)。


図14:売上高上位にランクインする半導体メーカーの形態[クリックで拡大] 出所:Gartner、IC Insights、IHS、電子ジャーナル『半導体データブック』のデータなどを基に筆者作成

 2000〜2001年は、上位11社が全てIDMだった。2002年にファウンドリーのTSMCがランクインしたため、IDMは10社になり、この状況が2007年まで続いた。2008年にファブレスのQualcommがランクインすると、IDMは9社になり、それが2010年まで続いた。2011年から2019年までは、ファウンドリーが1社、ファブレスが1〜3社の間の状態が続いた。

 そして、2021年になると、ファウンドリーのTSMC1社は変わらないが、ファブレスが5社に増大し、それに反比例してIDMが5社にまで減少した。そのIDM5社のうち、3社がメモリメーカーであり、非メモリメーカーは、プロセッサのIntelとDSP/アナログICなどのTexas Instruments(TI)の2社になってしまった。

 つまり、2000年以降を俯瞰してみると、IDMが減り続け、ファブレスが増え続けていると言える。そして、ファブレスの躍進は今後もっと顕著になるだろう。というのは、最先端の巨大半導体工場建設には途轍もない設備投資が必要になるからだ。

 例えば、ビッグ3のIntel、Samsung、TSMCの設備投資を見てみると(図15)、2022年は、Intelが265億米ドル、Samsungが360億米ドル、TSMCが440億米ドルも投資する(一部筆者予測)。


図15:Intel、Samsung、TSMCの設備投資額(2022年は筆者予測)[クリックで拡大] 出所:Gartner、IC Insights、TrendForce、各社のIRデータ、筆者予測などを基に作成

 ところが、ファブレスには、このような巨額の設備投資は必要ない。どのようなチップを設計すればいいかを決めるマーケティングと設計のためのR&D投資を行えばよい。しかも、巨大半導体工場には千人単位のマンパワーが必要であるが、ファブレスの場合はもっと少人数で勝負できる。

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