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量子コンピュータ、クラウドで提供進むも課題は山積実用化は「まだ先」と専門家(1/2 ページ)

現在では複数の企業が、Amazon Web Service(AWS)やGoogle Cloud、Microsoft「Azure」などのクラウドプラットフォームを介したサービスとして、量子アプリケーションを提供している。その開発を主導しているのは、実績あるメーカーや新興企業だ。米国EE Timesは以前に、量子コンピューティングに関するコラムの中で実地調査を行っている。今回は、量子技術の現状に関する概要と今後の展望について、以下にまとめていきたい。

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クラウドを介したサービス提供が進む

 量子コンピュータ開発は、ここ10年間で着実な進展を遂げてきた。その背景には、「量子ビット(qubit)は、0、1、または同時に0と1として存在する」という、量子物理学の独特な性質を確実に活用してきたことがある。

 現在では複数の企業が、Amazon Web Service(AWS)やGoogle Cloud、Microsoft「Azure」などのクラウドプラットフォームを介したサービスとして、量子アプリケーションを提供している。

 その開発を主導しているのは、実績あるメーカーや新興企業だ。米国EE Timesは以前に、量子コンピューティングに関するコラムの中で実地調査を行っている。今回は、量子技術の現状に関する概要と今後の展望について、以下にまとめていきたい。

 本記事ではそのバックグラウンドとして、米国会計検査院(GAO:Government Accountability Office)が量子コンピューティングの現状と展望について調査したレポートを大いに利用している(参照)。

 量子コンピュータを導入するには、複数の技術が必要であるため、その実用化が可能になる時期を予測することは非常に難しい。開発ペースは加速しているものの、多くの専門家たちは引き続き、「量子コンピュータの実用化は今後まだ少なくとも10年先になるだろう」と見ているようだ。

量子ビットを表現するさまざまな方式

 物理量子ビット(量子ビット)は、基本的なビルディングブロックである。物理量子ビットには、自然に発生する粒子と、人工構造が含まれている。自然に発生する粒子には、原子やトラップドイオン(trapped ion/イオントラップとも呼ばれる)、光子が含まれる。トラップドイオンと光子は、この分野を先導する技術だ。


イオントラップ方式のリーディングカンパニーである米IonQが発表した、イオントラップ量子プロセッサの概念図 出所:IonQ

 人工的な物理的量子ビットは、自然に発生する粒子のシミュレーションを行うことにより、量子ビットゲートを形成する。量子ゲートは、既存のコンピュータの論理ゲートと非常によく似ている。

 このカテゴリーには、超電導や量子ドット、結晶欠陥などが含まれる。一例として、ダイヤモンドの炭素格子の中にある窒素原子が挙げられるが、これは「カラーセンター」と呼ばれる。このカテゴリーの中で重要なのが、超電導だ。

 量子ビットから量子コンピュータを設計するにあたり、量子特性を操作して、複数の量子ビットを相互にもつれさせるための技術が開発された。これらの操作は、レーザーやマイクロ波、電場、磁場などをはじめ、さまざまな手法を用いて実行することができる。

 今後も技術開発が順調に進展していくことで、数千個の量子ビットを備えた量子マシンが実現するだろう。さらに2030年には、量子ビット数が100万個近くになるとみられる。このような技術進化により、クラウドサービスプロバイダーや学術機関、企業などでの導入が大幅に拡大していくと予測される。

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