2022年内にGaN-on-GaNデバイスを市場投入、NexGen:車載向け耐圧1200Vデバイスも(2/2 ページ)
米NexGen Power Systems(以下、NexGen)は、世界最大規模のパワーエレクトロニクス展示会「PCIM Europe 2022」(2022年5月10〜12日、ドイツ)に出展し、GaN(窒化ガリウム)基板上にGaN層を形成する縦型GaNデバイス「Vertical GaN」などを紹介した。同社製品は2022年第4四半期にノートPCのAC-DCアダプター用途で出荷される予定だ。また、今後、数四半期以内に車載DC-DCコンバーターやオンボードチャージャー向けに耐圧1200Vのデバイスも出荷を開始する予定だという。
まずは240W AC-DCアダプターで市場投入
同社は、Vertical GaNのほか1MHz以上の高周波スイッチングで動作するデジタルパワートレインコントローラー「merlin power engine」および平面型トランス「plannar magnetics」を開発。これらの技術を用いた240W AC-DCアダプターは、94%の効率と、20W/in3の電力密度を実現。現在市場に出回るシリコンベースの製品と比較し重量は45%、サイズは61%削減できるとしている。
同AC-DCアダプターは台湾MSI製ゲーミングノートPCに採用され、2022年第4四半期から出荷される予定だという。さらに、車載市場に向けても、今後DC-DCコンバーターやオンボードチャージャー向けに耐圧1200Vの出荷を予定、Ramanathan氏は「数年後には、車載用インバーター向けの製品も検討している」としている。
また、同氏は「われわれのシステムの大きな特長はスケーラブルであることで、データセンター向けなどにも対応することを前提に設計している」とも付け加えた。
「コスト面の課題も解決」
縦型GaNデバイスの製造は従来、コスト面などが課題とされてきたが、Ramanathan氏は、「現在、4インチウエハーを用いているが、ダイサイズは非常に小さく、ウエハー1枚当たり2万個のデバイスが並んでいることになる。そのため、コストはそれほど高くはない」と説明。また、「われわれは、GaN-on-GaNデバイス開発に長く取り組んでおり、最新の設備と優れた工程管理、優れた技術者を有している」と語り、歩留まりも約70%を実現していると明かした。
また、同社は米国ニューヨーク州に延べ6万6000平方フィート(約6131m2)の工場(クリーンルームは2万平方フィート[約1858m2])を有しているが、「われわれの工場は8インチウエハー対応の工場であり、8インチまでのスケーリングも容易だ。自動車業界ではより大きなダイの要求があるため、数年先には6インチウエハーにも移行するだろう」と語っていた。
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