BroadcomがVMwareを610億ドルで買収へ:アナリストからは懸念も(2/3 ページ)
2022年5月、新たに大規模な買収案件が登場した。Broadcomが、VMwareを610億米ドルで買収するという。
買収戦略を続けてきたBroadcom
Broadcomはもともと、半導体メーカーとしてスタートした企業である(Avago Technologiesが2015年にBroadcomを買収し、社名を「Broadcom」に改めた。ティッカーシンボル(証券コード)は「AVGO」)。しかし、2017年にBrocadeを買収してから、2018年にはCA Technologiesを、2019年にはSymantecをそれぞれ買収したことにより、ソフトウェアインフラのポートフォリオを構築した。
英国の市場調査会社Omdiaのクラウド/データセンターリサーチプラクティス部門のアナリストによれば、Broadcomは、以下のような目標を掲げているとみられる。
- 実績ある技術とクライアント基盤とを兼ね備えたメーカーを買収する。ただし、投資家をそれほど刺激しないよう、買収価格は比較的安価であること
- コストの最適化を図る
- 今後10〜15年間をかけて、徹底的に成果を絞り出す
ソフトウェアは、アプリケーションの相互依存性と向上性によって環境全体を再構築することが可能なため、驚くほど長い寿命を持つことができる。Omdiaの研究チームには、Vladimir Galabov氏が責任者を務め、チーフアナリストであるMichael Azoff氏や、Roy Illsley氏、主席アナリストであるManoj Sukumaran氏などが参加している。同チームによると、世界は今後、クラウドネイティブの方向に進んでいくとみられるが、ほとんどのアプリケーションは現在も、旧型の仮想マシン上で動作しているという。
さらに同チームは、「VMwareには、CA Technologiesとの共通点がいくつかある。例えばVMwareは、絶え間なく売上高を生み出す、十分に確立された仮想化ソフトウェア市場において、リーダー的地位を確立している。また、コンテナソフトウェアやマイクロサービスなど、既にRed Hatがリーダーとしての地位を築いている高成長市場への参入に出遅れたという課題に直面しているという点もある。さらに、VMwareは現在、収益源を、ライセンスの前払いからSaaS(Software-as-a-Service)モデルへと移行させているところだ。ビジネスモデルの移行や、サーバ仮想化市場への分裂などによって、VMwareの売上高成長に影響が及び、年間ベースで2桁台から1桁台に減速する結果となった」と指摘する。
ただしOmdiaは、「売上高が突然低下するとは思えない。アプリケーション環境の再構築は難しいため、仮想化ユーザーが直ちに他に切り替えるというようなことはないだろう」と述べている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.