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AIでモーターの「健康診断」、異常のしきい値は自動判定従来よりも容易な予知保全を実現(1/2 ページ)

アナログ・デバイセズは、最新の食品機械/装置などが展示される「FOOMA JAPAN 2022(国際食品工業展)」(2022年6月7〜10日、東京ビッグサイト)で、モーターの予知保全や異常検知に向けたセンシングソリューション「ADI OtoSense スマート・モーター・センサー(以下、OtoSense SMS)」を出展した。

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低圧三相モーターが対象

 アナログ・デバイセズは、最新の食品機械/装置などが展示される「FOOMA JAPAN 2022(国際食品工業展)」(2022年6月7〜10日、東京ビッグサイト)で、モーターの予知保全や異常検知に向けたセンシングソリューション「ADI OtoSense スマート・モーター・センサー(以下、OtoSense SMS)」を出展した。

 「OtoSense」は、アナログ・デバイセズが展開する、AI(人工知能)技術を適用したソリューションのブランド名である。今回展示したOtoSense SMSは、工場のファンやポンプなど、さまざまなアプリケーションに用いられている三相誘導モーター向けの製品で、機械学習を活用してモーターの予知保全や異常検知を行う。食品/飲料工場、製薬工場、発電所、空港、上下水道施設などに設置された、出力が500kWレベルまでの低圧三相モーターを対象とする。

 OtoSense SMSは、バッテリーやWi-Fi通信用モジュールなども搭載したセンサー本体の他、クラウド、スマートフォン用アプリで構成されるソリューションで、ユーザーは年間ライセンス料を支払って使用する。「アナログ・デバイセズとしては初めて、サービスにまで踏み込んだ最終製品だ」と同社は説明する。なお、OtoSense SMSはアナログ・デバイセズまたはマクニカを通じて購入できる。


「OtoSense SMS」の構成要素[クリックで拡大] 出所:アナログ・デバイセズ

 センサーには、2軸加速度センサー/温度センサー/磁束センサーが搭載されている。モーターの冷却ファンにクランプで固定するだけなので、すぐに取り付けられる。

センサー本体をモーターに取り付けている様子(左)とセンサーの裏面(右)。クランプで固定するだけでよい[クリックで拡大]

モーターの仕様を考慮したAIモデルを自動生成

 さらに、スマホのアプリに、モーターのスペック(出力や周波数、入力電圧など)をあらかじめ入力しておく。センサーをモーターに取り付けると、センサーは自動的にモーターの振動、温度、磁界のデータを収集し始める。一定期間収集すると、それらのデータを基に、そのモーターの仕様や動作環境、負荷なども考慮したAIモデルが、クラウド上で自動生成される。このAIモデルを使って故障や異常検知を行う(推論する)仕組みだ。不具合や異常を検知した場合、スマホにアラートが通知される。

 検知できる電気的/機械的異常は、ベアリング、シャフトバランス、回転子、固定子巻線、アライメントなど9種類。一つ一つについてAIモデルが生成される。異常レベルは10段階で表示され、現状をモニタリングしやすくなっている。

データ表示の一例。左は、モーターの状態の異常レベルを示しているもの。9つの項目の状態を「健康インデックス」で表している。デモでは、シャフトバランスをわざと崩していて、それがきちんと検知されていることを示していた。中央は、9項目の健康インデックスを時間の経過とともに確認できるグラフ。右は、磁束データの波形。専門的な知識を持つ人のために、このような波形データを表示することも可能だ[クリックで拡大]

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