SEMI Europe、European Chips Actの採択を催促:半導体産業の強化を急ぐ欧州(1/2 ページ)
2022年5月30日、欧州の半導体業界の主要幹部がベルギーのブリュッセルで開催された「Industry Strategy Symposium(ISS) Europe 2022」に集結した。SEMI Europeはその中で、欧州連合(EU)に対し、「European Chips Act(欧州半導体法)」の採択に向けて予算配分とガバナンスをより迅速に明確化するよう求めた。
2022年5月30日、欧州の半導体業界の主要幹部がベルギーのブリュッセルで開催された「Industry Strategy Symposium(ISS) Europe 2022」に集結した。SEMI Europeはその中で、欧州連合(EU)に対し、「European Chips Act(欧州半導体法)」の採択に向けて予算配分とガバナンスをより迅速に明確化するよう求めた。
SEMI Europeのプレジデントを務めるLaith Altimime氏は同サミットの冒頭で、EE Times Europeに対して、「欧州の電子機器製造および設計サプライチェーン全体を代表する業界団体は、European Chips Actの詳細情報がないことにフラストレーションを感じている」と語った。同氏は、同法の各柱への予算配分などの面の他、同法における行為を決定する運営組織に産業界が関与する必要性などについて言及した。
Altimime氏は、同法の迅速な採択を促し、同法について欧州議会と加盟国、欧州委員会と議論するよう求めた。SEMI Europeはさらに、欧州委員会と欧州議会、欧州理事会による検討に向けた提言について詳述したポジションペーパーを発行した。
European Chips Actは、半導体技術およびアプリケーションにおける欧州の競争力と回復力を強化するとともに、同地域のデジタル化およびグリーン化への移行の実現を目的としている。Altimime氏は、「European Chips Actの迅速な採択によって、半導体の製造能力と研究開発の増強に向けた投資を誘致する欧州の取り組みが大幅に加速する。同法は、欧州が半導体製造を大幅に脱炭素化し、デジタル変革を推進するための重要な一歩でもある」と述べている。
ポジションペーパーでは、以下のような提言がなされた。
欧州の半導体イニシアチブ
- 研究開発能力を強化し、十分な資金を確保する
- 新規および既存のパイロットラインを、予想される将来のニーズとトレンドに合わせて調整し、EUの半導体バリューチェーンの全関係者へのオープンアクセスをサポートする
- 「Chips Joint Undertaking(半導体共同事業)」は、欧州の半導体産業のニーズをターゲットにする必要がある
- Chips Joint Undertakingの下、スキルおよび労働力の開発に特化した資金調達の流れを確立する
供給の安全性
- 関連する全ての技術プロジェクトを対象とする、他に類を見ない分類を提供する
- ファストトラック手順を育成する
準備と監視
- 半導体バリューチェーンとEU経済システム全体に対するリスクを最小限に抑える
- 半導体企業の管理効率を低下させる、不必要なデータ報告制度を撤廃する
- 業界データの機密性の保護に向けた要件を確立する
- EUと米国間の貿易技術評議会など、グローバルパートナーととも欧州のイニシアチブを促進する
ガバナンス
- 欧州の半導体エコシステムにステークホルダーを含める
SEMI Europeはまた、世界および欧州の半導体エコシステムを代表する他の業界利害関係者団体と共同で業界声明を作成し、署名した。この声明は、欧州委員会と議会、欧州理事会に対し、以下のことを要請している。
- 欧州の競争力を強化するための投資条件と機会への注力
- 半導体産業の混乱の緩和を支援するための危機対応フレームワークの構築
- Europe Chips Actのガバナンスへの半導体業界の関与
- グローバルパートナーとの活動の調整
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