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「IMW2022」3D NANDの最前線 〜EUV適用から、液体窒素冷却の7ビット/セルまで湯之上隆のナノフォーカス(51)(2/5 ページ)

半導体メモリの国際学会「International Memory Workshop2022(以下IMW2022)」から、筆者が注目した2つの論文を紹介する。Micron Technologyとキオクシアの論文で、いずれも3D NAND型フラッシュメモリに関する発表である。

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IMW2022の特徴

 IMW2022のプログラムを図6に示す。加えてランチやディナーなどのプログラムを図7に示す。筆者がIMWを気に入っている理由の一つには、お食事やおやつが充実していることにある。


図6 IMW2022のTechnical Program 出所:International Memory Workshop 2022のOpeningの資料

 図7の通り、学会開催中は毎日ランチが提供される。また、ここには書かれていないが、朝、学会会場に行くと、簡単な朝食が準備されている。加えて、セッションの間の休憩時間は約30分もあり、おいしそうなおやつが用意される。そして、2日目と3日目には、ディナーが提供される。要するに、学会期間中は、食事の心配をほとんどせずに、過ごすことができるのだ。


図7 IMW2022のSpecial Program(ランチやディナー) 出所:International Memory Workshop 2022のOpeningの資料

 さらに今回は、図8に示したように、「ネクタイ禁止」のドレスコードが発表された。まあ何ともユニークな学会であることか!


図8 IMW2022のドレスコード(ネクタイ禁止) 出所:International Memory Workshop 2022のOpeningの資料

IMW2022のプログラム

 さて、初日の5月15日には、Tutorial 1として“Ferroelectric Memories”に関する発表が3件、Tutorial 2として“3D Memories - Security Aspects of Memories”に関する発表が2件あった。

 2日目の5月16日の午前中には、Session #1として、Opening RemarksおよびKeynoteが3件あった。続いて、Session #2(RRAM+PCM I)の発表が3件あり、ランチを挟んで、午後にはSession #1として11件のポスターセッションが行われた。

 3日目の5月17日には、Session #5(MRAM+Ferro I)の発表が5件、Session #6(Flash+3D NAND)の発表が3件、Session #7(RRAM+PCRAM II)の発表5件が終わった後、夕方に“Are Emerging Memories Finally Emerging?”のテーマでパネルディスカッションが行われた。

 最終日4日目の5月18日には、Session #7(MRAM+Ferro II)の発表が4件、Session #8(Storage Memory+3D NAND)の発表が3件あり、その後、Closing Remarksが行われた。最後は、ランチを食べながら、Best Paper AwardとBest Student Paper Awardの発表があった。

筆者が注目した発表

 Tutorial 5件、招待講演8件、口頭発表16件、ポスター発表11件、合計40件の中で、筆者は特に、以下の2件の3D NAND型フラッシュメモリの発表に注目した。

1)Session #1の米Micron TechnologyのKeynote、Lars Heineck and Jin Liu, “3D NAND Flash Status and Trends”

2)Session #5のキオクシアの口頭発表、Hitomi Tanaka et al., “Toward 7 Bits per Cell: Synergistic Improvement of 3D Flash Memory by Combination of Single-crystal Channel and Cryogenic Operation.“

 最初のMicronの発表では、3D NANDを高密度化するために、縦方向にメモリセルを積層することが常道となっているが、平面方向(X-Y方向)にスケーリングすれば縦方向への積層化を緩和できるとされている。しかし、そのX-Y方向のスケーリングを進めると、もしかしたらメモリセルの下部などに形成するCMOS回路(CMOS Under Array、CUA)の配線に、EUV(極端紫外線)リソグラフィ技術(以下、単にEUV)を適用する可能性が出てくるかもしれないというのである。

 一方、後者のキオクシアの発表では、メモリセルのチャネルを多結晶シリコンから単結晶シリコンに変更し、その3D NANDを絶対温度77Kの液体窒素に浸すと、ノイズを低減することができ、リテンション特性も向上し、一つのメモリセルで7ビットの動作を実現できたという。

 どちらも、「3D NANDにEUVだって?」「3D NANDを液体窒素に浸して7ビット/セルの動作だって?」と筆者は大いに驚いた。次ページから、詳しく説明しよう。

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