センサーの高付加価値化が業績回復のシナリオ、ソニー 清水氏:「シェア60%目標」下方修正せず(1/3 ページ)
2025年度にイメージセンサーで金額シェア60%を狙うソニーグループ。同グループのイメージング&センシング・ソリューション(I&SS)事業を担うソニーセミコンダクタソリューションズは2022年6月17日、同社の厚木テクノロジーセンター(神奈川県厚木市)にてメディア向けイベントを開催。イメージセンサーのデモを一挙に公開するとともに、同社代表取締役社長兼CEOの清水照士氏が、メディアからの質問に答えた。
2025年度にイメージセンサーで金額シェア60%を狙うソニーグループ。同グループのイメージング&センシング・ソリューション(I&SS)事業を担うソニーセミコンダクタソリューションズは2022年6月17日、同社の厚木テクノロジーセンター(神奈川県厚木市)にてメディア向けイベントを開催。イメージセンサーのデモを一挙に公開するとともに、同社代表取締役社長兼CEOの清水照士氏が、メディアからの質問に答えた。
CMOSイメージセンサーの競争力
――特に民生用CMOSイメージセンサーでは、Samsung Electronicsをはじめ、競合が攻勢をかけています。ソニーはどう競争力を維持していくのでしょうか。
清水照士氏 特にスマートフォン市場では必ずぶつかることもあり、常に脅威を感じながら研究開発を進めている。ただ、スマートフォン市場が少しずつ低迷している中で、売れているのはローエンドやミドルレンジの機種ではなく、ハイエンド機種である。そうなると、スマートフォンメーカーは、ハイエンド機種に付加価値をつけるべく、大型のイメージセンサーを搭載する傾向にある。イメージセンサーの大判化による高画質の実現はもともとソニーが強い領域のため、われわれにとっては追い風が吹いている状況だ。とはいえ、進化のもう一つの方向である画素の微細化技術についても、開発を続け訴求していきたいと考えている。
――ソニーセミコンダクタソリューションズは、さまざまなセンサーを手掛けていますが、センサーフュージョンについては、今後どうビジネスを展開していく計画ですか。
清水氏 当社には、信号処理の前の段階で情報を融合する「アーリーフュージョン」技術を持っている。これをどう自動運転に導入してもらえるかが課題だったが、一つのトリガーとなったのが、自動駐車だった。既に量産車にも搭載されている技術だが、自動車メーカーから話を聞くと、まだまだ精度が足りないという声を聞く。そこで、われわれのアーリーフュージョン技術を試してもらったところ、大幅に精度が向上することを確認してもらえた。そこから、同技術をクルマのフロントセンシングに活用できないか、などと話が広がっている。
センサーフュージョンは、まずはカメラ+レーダーの組み合わせに焦点を当てているが、究極はカメラ+LiDARだと考えている。この領域になると、(センサーだけでなく)ソフトウェアやアルゴリズムも重要性を増していくだろう。
――ちょうど2年前となる2020年6月にサンプル出荷を開始したSWIR(短波長赤外)イメージセンサーですが、量産や引き合いの状況はいかがでしょうか。
清水氏 現時点で、量産は“ちょろちょろ”という感じで規模は小さい。検査などのアプリケーションでポテンシャルのある技術ではあるが、産業用途というのは概して立ち上がりがスローなことが多い。このスピード感は覚悟の上でビジネスを行っている。当初は、「これはいけるかもしれない」と思っていたが、顧客と話を進めていくと、やはり一定の評価期間がほしいという声が多い。それは、産業用途の宿命とも思っている。
――イメージセンサーの開発の方向性についてお聞かせください。
清水氏 開発テーマの“ど真ん中”としてロードマップに据えているのは、3次元実装だ。現在、われわれのCMOSイメージセンサーは画素部分と、信号処理を行うロジック部分が2層に積層されているが、それを3層に増やして付加価値を高める方法も考えられる。何をどう積層するのか、そのポテンシャルや課題を検討するとともに、単なる“センシング”からもう少し踏み込んだところまでカバーする可能性も考慮して、事業拡大を進めている。
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