半導体需要に「急ブレーキ」、供給不足の現状と今後:DX/GXで長期的にはさらに成長(3/5 ページ)
コアスタッフは2022年7月5日、半導体/電子部品の供給不足の現状と今後の展望に関する記者説明会を行った。説明会では同社社長の戸澤正紀氏のほか、英国の調査会社Omdiaのシニアコンサルティングディレクター、南川明氏も登壇。南川氏は、「この1カ月で急速にエレクトロニクスの消費が落ちてきている。半導体の需給バランスが急速に逆回転し始めようとしている」との見解を示した。
DX、GXで自動車が市場の新たなけん引役に
半導体市場の全体像を見ると、これまで市場の成長をけん引してきたPCやスマホなどの需要が依然として大きいものの、成長は鈍化している。一方で今後はDX、GXによって特に自動車向けが新たなけん引役となっていく見通しだ。
GXに関しては、カーボンニュートラル市場向け半導体はこれまで半導体市場全体の5%程度だっとというが、2021年以降成長を続けていく見通しとなっており、「2030年には9〜10%を占めるようになるだろう」(南川氏)という。さらに、DX関連の半導体については「現在、市場全体の約25%ほどだが、2030年には60%程度まで高まるだろう」としている。
また、DXでマイクロプロセッサやメモリ、ロジックの先端プロセス品が求められる一方、GXでは電源に関わるパワー半導体やDC-DCコンバーターなどアナログがメインとなることから、南川氏は「Intelをはじめ、デジタルでは強いメーカーが多いが、アナログは規模が小さい企業が少なくない。今後アナログが伸びるとなると、アナログ製品を持たないそうしたメーカーが、アナログ半導体企業を買収するという動きもでてくるだろう」と指摘していた。
生産能力拡大に必要な設備投資額
南川氏は最後に、半導体メーカーの投資と生産能力との関係についても説明した(下図)。世界の半導体メーカーの投資総額は2000〜2016年まで6兆円を天井に増減を繰り返していた一方でその間、生産能力は2.5倍となっていた。しかし2017年以降、投資が10兆円を超えたにもかかわらず、2020年までの4年間、生産能力はほとんど増加していなかったという。
この理由について南川氏は、「例えばNAND型フラッシュメモリでは2Dから3Dとなって積層することで生産工程が増えた。これまで2カ月でできていたものが4カ月かかるといった形で、投資にも関らずほとんど生産能力は伸びなかった。ロジックも同様に10nmプロセス以下になると工程が複雑となり工程数が増えた」と説明。その上で、「2020、2021年でさらに投資が進み、やっと生産能力も伸び始めた。その結果、今後1〜2年はオーバーサプライになる可能性が出てきたが、逆にいえば、生産能力を増やし続けるためは、2020〜2021年の、今まで考えられなかった規模の設備投資を続けなければならない」と続けた。
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