半導体業界は協業体制によるデータ共有を実現すべき:半導体不足の教訓(1/2 ページ)
半導体業界にとって今、半導体不足から得られた教訓があるとすれば、それは、「半導体業界全体のパートナー/サプライヤー間において、もっと実用的なデータを共有する必要性がある」という点ではないだろうか。
半導体業界にとって今、半導体不足から得られた教訓があるとすれば、それは、「半導体業界全体のパートナー/サプライヤー間において、もっと実用的なデータを共有する必要性がある」という点ではないだろうか。
半導体不足とサプライチェーンの問題は、「データ共有が機能停止に陥ると、いかにぜい弱であるか」を明らかにした。「European Chips Act(欧州半導体法)」や「CHIPS法(CHIPS for America Act)」などを見れば、多くの国にとって、半導体不足をどのようにして解決するかが極めて重要な問題であることが分かる。
半導体業界として、サプライチェーン全体の全ての企業が共同でこの問題に対応することにより、エコシステム全体におけるデータ共有をさらに強化していく必要がある。
なぜこのような状況に陥ったのか
半導体の生産量が大幅に増加したことにより、現在では半導体バリューチェーンがかなり広がっている。必要とされるデバイスの数が急増し、ノードサイズが縮小するに伴い、“無欠陥製品の生産”や、“より迅速なイノベーションの実現”といったことに対するプレッシャーが急激に高まっている。こうした中でメーカーやサプライヤーが成功を収めるためには、従来のやり方を変える必要がある。
半導体業界は全体的に、過去10年の間に新しい技術ノードが導入されたことで、材料感度が非常に高くなった。このため、材料とファブのプロセス技術との間に新たな相互作用の存在が認識され、サプライチェーンに対する圧力が生じるようになった。
そして現在、材料感度は高まる一方だ。材料バリューチェーンの中で、何が起こっているのだろうか。まずは材料サプライヤーをはじめ、原材料サプライヤーは、主要な各種原材料を調達する必要がある。「特定種類の材料に対する懸念がある」という混乱が1つでも生じると、それが原因となってサプライチェーン全体に後れが生じる。例えば、もう一度原材料サプライヤーに戻って新たな在庫を確保する必要があるとなれば、プロセス全体をやり直さなければならないためだ。
このようなバリューチェーンは、通常は簡素化された方法で稼働しているが、利用率が上昇して生産量が増加し、それがさらに半導体不足によって強調されると、生産される全ての種類の材料を、デバイスメーカーに予定通り提供するということが非常に重要になる。
原材料のパラメーターを認識することができれば、設計プロセスを改善して、特定のプロセスに対する原材料をぴったりと適合させることが可能だ。これはデバイスメーカーに対し、非常に大きな影響を及ぼす可能性がある。歩留まりを高めることで、さらに全体的な歩留まりを向上させ、変動を低減し、スループットを高速化することによって、高速稼働を実現できるようになる。
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