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ストレージ/メモリカード市場をけん引するリムーバブル性産業/自動車分野で有望(1/4 ページ)

多くの民生機器は現在、UFS規格や、フラッシュストレージとDRAMの組み合わせが可能になったマルチチップパッケージ(uMCP)によって、十分なストレージ性能を搭載するようになった。しかし、産業/自動車市場で現在台頭しているユースケースを見ると、システム全体を分解する必要なく容量を増やすためには、簡単に取り外し可能なフォームファクターが非常に有効であるということが分かる。

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車載用アプリケーションや、インテリジェントエッジの要求に対応

 見方によっては、「SDやコンパクトフラッシュなどのフォームファクターで広く知られるリムーバブルメモリカード市場は、現在低迷しつつある」とする意見もあるようだ。一部のアプリケーションでは、組み込み型のオプションや小型フォームファクターのSSDの方が、増大するデータ使用量に対応する性能を備えたメモリソリューションとして選ばれるようになってきている。

 多くの民生機器は現在、UFS規格や、フラッシュストレージとDRAMの組み合わせが可能になったマルチチップパッケージ(uMCP)によって、十分なストレージ性能を搭載するようになった。しかし、産業/自動車市場で現在台頭しているユースケースを見ると、システム全体を分解する必要なく容量を増やすためには、簡単に取り外し可能なフォームファクターが非常に有効であるということが分かる。

 メモリデバイスを簡単に交換できれば、車載用アプリケーションの不具合発生時に、時間とコストを確実に削減することが可能だ。特に、メモリによってシステムの機能障害が発生した可能性がある場合に役立つ。その好例として挙げられるのが、フラッシュメモリが機能しなくなるウェアアウトによって発生した、Tesla車のリコールだ。この時、タッチスクリーンに接続されていたeMMC NANDフラッシュメモリデバイスが故障したために、MCU(メディアコントロールユニット)全体の故障へとつながり、連邦政府が搭載を義務付けているバックアップカメラへのアクセスが遮断された上、HVACコントロールやウインカーなどの、タッチスクリーン経由で動作するあらゆる機能にまで影響が及んだという。

 リムーバブルメモリデバイスは、影響を受けたデバイスを簡単にスワップアウトすることが可能だ。Micron Technology(以下、Micron)は、「SDカードのフォームファクターは、車載用アプリケーションや、インテリジェントエッジの複雑なメモリ/ストレージ需要にも対応することができる」と強気の見方をしているようだ。


容量1.5TBのmicroSD「i400」 出所:Micron Technology

 Micronは、ドイツ・ニュルンベルクで開催された組み込み技術の展示会「embedded world 2022」(2022年6月21〜23日)において、1.5TB(テラバイト)の高密度を実現したmicroSD「i400」のサンプル出荷を開始したと発表した。産業グレードのビデオセキュリティアプリケーションにターゲットを定め、同社の176層3D NANDフラッシュと、産業アプリケーション向け専用の独自開発機能を搭載するという。

 Micronのi400は、4Kビデオ録画と、1秒当たり最大8件のAI(人工知能)イベント処理を同時に実行でき、ナンバープレート認識や顔認証などをはじめとする物体検知/分類を行うことが可能だ。また、5年間にわたり24時間365日の高品質連続録画を実行することができるという。

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