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予約注文100万ドルに、ニューロモーフィックAIの仏新興企業GrAI Matter Labs(1/2 ページ)

ニューロモーフィックコンピューティングを手掛けるフランスの新興企業GrAI Matter Labsが米国EE Timesに語ったところによると、同社の「GrAI VIP」チップは100万米ドルの予約注文を受けているという。

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 ニューロモーフィックコンピューティングを手掛けるフランスの新興企業GrAI Matter Labsが米国EE Timesに語ったところによると、同社の「GrAI VIP」チップは100万米ドルの予約注文を受けているという。

 これまでのところ、家電ティア1メーカーやモジュールメーカー(ADLink、Framos、ERMなど)、米国およびフランスの政府研究機関、車載ティア1メーカー、車載システムインテグレーター、ホワイトボックスサプライヤー、ディストリビューターなどの企業から受注しているという。

“過去を記憶するニューロン設計”で低遅延、低消費電力

 GrAI VIPは、前世代の「Neuron Flow」コアと同様に、イベントベースのセンシングとスパース性の概念を使用して、画像データを効率的に処理するアプローチを採っている。つまり、ステートフルニューロン設計(過去を記憶するニューロン設計)を使用して、ある動画のフレームと次の動画のフレームの間で変化した情報のみを処理する。これにより、フレームの変化していない部分を何度も処理せずにすむ。これをニアメモリコンピューティング/データフローアーキテクチャと組み合わせることで、低レイテンシで低消費電力のリアルタイムコンピュータビジョンを実現する。

 同社の第1世代のチップである「GrAI One」は、2019年秋に発売された。第2世代は、GrAI Matter Labsと米国政府の共同プロジェクト専用に製造され、GrAI VIPは第3世代の製品である。

 GrAI VIPは、30フレーム/秒(fps)で動作する「MobileNetv1-SSD」を184mWで処理でき、同等のGPUと比較して1Wあたり約20倍の推論/秒を実現できる。スパース性と電圧スケーリングの最適化をさらに進めることで、さらなる改善が可能だという。

 GrAI VIPチップは、同社のニューロンフローファブリックのアップデート版と、前処理および後処理用のデュアル「Arm Cortex M7」CPU(DSP拡張を含む)を搭載したSoC(System on Chip)で、デュアルMIPI Rx/Txカメラインタフェースに対応している。


GrAI VIPと第1世代のGrAI Oneとの比較[クリックで拡大] 出所:GrAI Matter Labs

 GrAI Matter LabsのCEO(最高経営責任者)を務めるIngolf Held氏は、米国EE Timesに対し、「AI(人工知能)の新たな応用事例に移行するときが来ている。今日、世界のほとんどは、オーディオとビデオに関心を持っており、そこからメタデータを取得している。つまり、元のフィードに何が起こったのかを本当に気にしている人は誰もいない。あらゆるアーキテクチャは、メタデータに到達するために、できるだけ低い精度で、できるだけ多くのMACを詰め込んでいる。だが、このアプローチではそれ以上のことは望めない。当社は、家庭や職場におけるオーディオ/ビデオ体験を変革したいと考えている。変革には、異なるアーキテクチャが必要だ。そのアーキテクチャは、レイテンシと品質に関して満たすべき要件が大きく異なっており、指標が全く違う」と述べた。

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