“同心円”を広げるApple、M2搭載MacBook Pro分解で読み解くチップの内製化:この10年で起こったこと、次の10年で起こること(65)(2/4 ページ)
前回に引き続き、2022年6月にAppleが発売した、「M2」プロセッサ搭載の「MacBook Pro」について報告する。内部の主要チップを開封し、過去のApple製品に搭載されているチップと比較してみると、Appleが社内でのIP共通化を徹底して進めていることが明らかになった。
1パッケージに20個ものシリコンが存在
図3は、M2パッケージの全チップを開封した様子である。図2に掲載したシリコンキャパシターは他にも2種類組み込まれている。右側のDRAMは4枚あるいは8枚が積層されていて(製品仕様に応じてユーザーがDRAM容量を8GB〜24GBまで選択できる)、最小の構成でも8個のDRAMシリコンが存在する。プロセッサ1つとDRAMシリコン8個、シリコンキャパシターがトータルで11個あるので、M2のパッケージ内にはトータルで20個ものシリコンが存在するわけだ。
ちなみに、現在最も多くのシリコンが1つのパッケージ内に組み込まれているものは、Appleが2022年3月に発売した「Mac Studio」に搭載されている「M1 Ultra」である。1つのパッケージ内に、なんと135個ものシリコンが埋め込まれている!! 詳細はテカナリエレポート(有償)の615号に掲載されているので、ぜひご覧いただきたい。
半導体の微細化が進めば進むほど、ピン数が増える傾向(並列化や電源強化)になっている。そのため、2D(次元)、2.5D、3Dのようなパッケージ技術の進化は必須となっているが、ファンクションシリコンの積層とともに特性や品質を保証するための部品(キャパシターなど)をどのように組み込んでいくかは、ますます重要になっている。
シリコンインターポーザー(配線のためのシリコン)にも容量を埋め込むなどの工夫が今後は成されていくことになる。M1 Ultraや最新のAMDの2.5D「Ryzen 7 5800X3D」の断面解析などでも、単なるファンクションだけの進化ではないことが明らかになっている。機能と特性の両立のためにも、“1パッケージ内の多シリコン化”は今後ますます進むだろう。
図4は、2020年以降のApple製品(MacBook Pro、iPad Pro、iMac 24インチなど)に採用されている、M1とM2のチップ開封(配線層剥離済)写真の比較である。実際には全ての機能が鮮明に見える解像度の写真であるが、一般公開なのでボカシを入れている。
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