Tataとタッグを組むルネサス、インド市場での狙いとは:独占インタビュー(1/3 ページ)
ルネサス エレクトロニクス(以下、ルネサス)は、コネクテッドデバイスやエンドポイント、エッジインテリジェンスの世界で急速に強みを構築。2022年6月にはインドのTata MotorsとTejas Networksとの主要な戦略的パートナーシップを発表した。今回、米国EE Times は、ルネサスのIoT・インフラ事業本部(IIBU)エグゼクティブバイスプレジデント兼ゼネラルマネジャーSailesh Chittipeddi氏にこの狙いを聞いた。
ルネサス エレクトロニクス(以下、ルネサス)は、コネクテッドデバイスやエンドポイント、エッジインテリジェンスの世界で急速に強みを構築している。同社は最近、組み込みAI(人工知能)ソリューションプロバイダーのReality AIの買収と、オープンソースのハードウェア/ソフトウェアを提供するArduinoへの出資を行った。さらに2022年6月29日、インドのTata MotorsとTejas Networks(どちらもTata Group)との主要な戦略的パートナーシップを発表した。同パートナーシップは、インド市場と新興市場の両方を対象としたRenesasの半導体ソリューションの設計と開発、製造をサポートするものである。
これは一見すると、大手半導体企業が、本社で開発した仕様にエンジニアリングリソースを投入するためにインドに開発センターを設立しただけのように見えるかもしれない。しかし、ルネサスでIoT・インフラ事業本部(IIBU)でエグゼクティブバイスプレジデント兼ゼネラルマネジャーを務めるSailesh Chittipeddi氏は、米国EE Timesとのインタビューで、「今回はそうではない」と強調した。
同氏は、インド市場自体が転換期を迎えており、別の政府がインドに半導体エコシステムを構築することを積極的に奨励していることや、インド市場が国内だけでなく国際的にも市場機会を獲得できる変曲点にあるという事実を指摘した。ルネサスは、エコシステムでより深いパートナーシップを形成し、Tata Motorsのような企業がインド国内でより多くのシステムソリューションを構築できるように、さらに尽力することを目指しているという。
完全なコミュニケーションチェーンを構築し、世界市場に拡大
――Tata Motorsとの新しいパートナーシップは、単に設計センターを設立するためのものか。それとも、その背景に何か戦略的な判断があるのか。
Sailesh Chittipeddi氏 当社は、インドでの研究開発においてかなり大きな存在感を持つ他の半導体企業とは異なり、これまでよりもはるかに戦略的に考える必要があった。Tataはインドでは名の知れたブランドで、当社は自動車分野でTata Elxsiと協力してきた。しかし、TCS(Tata Consultancy Services)とのパートナーシップは、システムやトップレベルのプラットフォームなど、さまざまな市場に対応するためのアプローチという点で、より上位に位置するものだ。
その一環として、TSCが所有するTejas NetworksとSankhya Labs(TCSが現在買収手続を進めている)も重要な役割を担っている。われわれは現在、基本的にこれらのパートナー企業と協業することにより、完全なコミュニケーションチェーンを構築し、まずはインドを皮切りに市場ニーズに対応し、世界市場へと確実に拡大していくことができる。このため、インドを主要ターゲット市場としているが、Tejas Networksが現在、4G(第4世代移動通信)/5G(第5世代移動通信)の世界市場へと確実に足跡を広げていることから、同社との協業によってこうした市場に対応していきたい考えだ。
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