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ArmのQualcomm提訴は「アーキテクチャライセンスの機会を損なう」アナリストが指摘(1/3 ページ)

Armは2022年8月31日(英国時間)、QualcommとNuviaを、ライセンス契約違反および商標権侵害で提訴したと発表した。Armは両社が商標権を、ライセンス供与されていない製品に使用することによって侵害したという。あるアナリストは、米国EE Timesのインタビューに応じ、「Armは今回の訴訟によって、アーキテクチャライセンス供与の機会を損なう可能性がある」と述べている。

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 Armは2022年8月31日(英国時間)、QualcommとNuviaを、ライセンス契約違反および商標権侵害で提訴したと発表した。Armは両社が商標権を、ライセンス供与されていない製品に使用することによって侵害したという。

 英国に拠点を置く半導体設計大手のArmは、Nuviaに特定の設計を破棄することの他、QualcommとNuviaに対するArmの商標権使用の差し止めや、商標権侵害に対する損害賠償も求めている。

 あるアナリストは、米国EE Timesのインタビューに応じ、「Armは今回の訴訟によって、アーキテクチャライセンス供与の機会を損なう可能性がある」と述べている。

対立する両社の見解

 Armは、「当社は世界で最も重要な半導体IP(intellectual property)のイノベーターとしての役割と、数十億ものデバイスがArm上で動作していることに誇りを持っている。これらの技術的成果は、長年の研究と多大なコストの上に成り立っており、評価され尊重されるべきものだ。知的財産の会社として、当社およびエコシステムの権利を保護することは責務である。当社は、われわれが正当に権利を有するものを守るために精力的に活動し、裁判所の同意も得られることを確信している」と述べている。

 Qualcommの総合弁護士であるAnn Chaplin氏は、「残念ながら、今回のArmの訴訟は、Qualcommとの間で長年にわたり構築してきた良好な関係から、逸脱する方向へと進んでしまうものだといえる。Armには、契約上のものであるか否かに関係なく、QualcommまたはNuviaのイノベーションを阻害する権利はない。Armの訴えは、Qualcommが自社のカスタム設計CPUを対象として、広範にわたり十分に確立したライセンス権を保有しているという点を、無視しているといえる。当社のこのような権利は、確実に認められるはずだ」と述べる。

 Armは米国EE Timesの取材に対し、今回の訴訟内容についてはこれ以上のコメントを避けている。

 Nuviaは、データセンター向けArmコアをベースとした、サーバCPUを手掛ける新興企業で、2021年、Qualcommによって14億米ドルで買収されている。Qualcommはこの当時、NuviaのCPUコアを将来の「Snapdragon」SoC(System on Chip)に搭載する考えだとしていた。こうした考えを特にノートPC向けプロセッサについて言及しながら、繰り返し主張することでその意図をより強固なものにしていった。


Tirias Researchの主席アナリスト、Kevin Krewell氏

 米国の市場調査会社であるTirias Researchの主席アナリストを務めるKevin Krewell氏は、EE Timesの取材に応じ、「今回の訴訟は、ArmとQualcommの間で続く一連の衝突の一つだといえる」と述べた。Qualcommは、NVIDIAが2021年にArm買収を提案した際、一番声を大にして反対していた。この時の買収提案は、最終的に失敗に終わっている。Armはその後、IPO(新規株式公開)を行う計画を発表した。

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