ソニー2Q決算は売上高、利益が過去最高を更新:部品供給/物流改善でPS5も生産加速(2/3 ページ)
ソニーグループは2022年11月1日、2023年3月期(2022年度)第2四半期(2022年7〜9月)決算を発表した。売上高は前年同期比16%増の2兆7519億円、営業利益は同8%増の3440億円となり、いずれも過去最高を更新した。円安の好影響があったほかイメージセンサーやデジタルカメラ、音楽分野などが好調だった。純利益も、同24%増の2640億円となった。
通期見通しも上方修正
同社は今回、為替の好影響などから2023年3月期の通期業績見通しについて、売上高を前回予想(2022年7月時点)から1000億円増の11兆6000億円、営業利益を同500億円増の1兆1600億円、純利益を同400億円増の8400億円といずれも上方修正した。なお為替前提レートは、1米ドル=140円前後、1ユーロ=138円前後としている。
十時氏は事業環境について、「米中間の緊張のさらなる高まりやエネルギー価格の高騰、インフレ圧力の拡大、各国の急速な金利引き上げなど、世界経済が失速するリスクが一段と高まっている」としつつ、「景気後退への感応度が相対的に高いET&S分野やI&SS分野をはじめ各事業において事業環境の一層の悪化に備えた取り組みを進めている」と述べていた。
イメージセンサーは過去最高の四半期売上高を記録
イメージセンサーを扱うI&SS分野を詳しく見ると、為替の影響やモバイル機器向けイメージセンサーの増収によって売上高は前年同期比43%と大幅増の3984億円となった。営業利益は研究開発費などが増加したものの、為替の好影響や増収効果から同49%増の740億円となった。
中国を中心としたスマートフォン市場の減速については第2四半期も改善されなかったが、「影響はおおむね前回見通しで想定した範囲に収まっている」という。一方でハイエンドスマホ向けイメージセンサーの大判化、高画質/高性能化が想定通り進捗したことで、同分野の四半期業績としては過去最高の売上高を記録した。
十時氏は、「ロジック半導体の供給改善により大判/高画質センサーの増産対応がある程度可能となってきており、今後もハイエンド製品を中心に高付加価値センサー導入を積極的に進めていく」としている。
同分野の通期見通しについては、モバイル、産業機器、セキュリティカメラの各アプリケーション向けで販売数量の減少を見込むものの為替の好影響から売上高は前回から変更しなかった。営業利益については、主に為替の好影響によって前回から10%増の2200億円に上方修正した。十時氏は、第3四半期のイメージセンサー出荷について、「引き続き高い水準を維持できると見ている」とする一方、第4四半期にさらなる景気減速によって最終製品市場が低迷するリスクを考慮、「販売計画に追加的なリスクを織り込むことで保守的な収益見通しとしている」と説明した。
なお、在庫については、「2023年度に向けた需要見通しを注意深く精査しながら現有生産キャパシティーの活用と今後の設備投資のタイミングを最適化する戦略在庫の運用を継続している」と説明。第2四半期末時点の在庫は前年同期比で約33%増となったが、十時氏は、「これは当年度の売り上げ成長にほぼ見合った水準と考えている」としている。
また、今後の見通しについて、十時氏は、「2023年度以降もハイエンドスマホへの大判/高画質センサーの採用拡大トレンドが当分野の成長をけん引すると見込んでいるが、車載向け事業も着実に拡大しており中長期的な成長領域として期待している」と語った。
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