「後工程で圧倒的な存在感を出せる」、昭和電工が強調:2023年1月から「レゾナック」に(1/2 ページ)
昭和電工は2022年11月1日、記者説明会を開催し、半導体業界における同社の強みや戦略などを語った。昭和電工は2020年に旧・日立化成(現・昭和電工マテリアルズ)を買収して経営統合を進めてきた。両社は2023年1月1日、統合新会社「レゾナック(RESONAC)」となる。
昭和電工は2022年11月1日、記者説明会を開催し、半導体業界における同社の強みや戦略などを語った。昭和電工は2020年に旧・日立化成(現・昭和電工マテリアルズ)を買収して経営統合を進めてきた。両社は2023年1月1日、統合新会社「レゾナック(RESONAC)」となる。同社取締役 常務執行役員 最高戦略責任者である真岡朋光氏は記者説明会で、「今回の統合を“第二の創業”と位置付けている。統合後は売上規模が1.4兆円と(昭和電工の)約2倍に拡大し、世界トップクラスの半導体材料メーカーとなる。世界で戦える事業規模となり、特に半導体製造の後工程で圧倒的な存在感を出せる」と語った。
装置、材料分野で強い日本企業
半導体の売上高で見ればシェアを落とし続けている日本だが、半導体装置と材料の分野では、高いシェアを持つ企業がいくつも存在するのは、既に知られている通りだ。
富士経済が2022年6月に発表した半導体材料市場の調査結果「2022年 半導体材料市場の現状と将来展望」によれば、半導体材料(30品目)の世界市場は2026年までCAGR(年平均成長率)5.2%で成長すると予測されている。ただ、「材料別に見れば、さらに高い成長率が予測されている市場もある」と真岡氏は述べる。例えば、高純度ガスは2021年比で34%増、CMPスラリーは同22%増、SiCエピウエハーは同253%増といった具合だ。「例えばCMPスラリーは3D NAND型フラッシュメモリの積層数増加によって、成長を後押しされている。このように、強いドライバー(けん引する要因)が見えているものは、CAGRが高い」(真岡氏)
真岡氏は、半導体材料のビジネスの特長について「総じて参入障壁が高い」と述べる。その理由として、部品とは異なりコモディティ化しにくい領域であること、半導体メーカーが生産プロセスの変更を避ける傾向にあること、後発メーカーが半導体メーカーとゼロから関係を構築するのが難しいこと、材料設計やソリューション最適化が非常に複雑であることを挙げた。
一方で、規模が大きくなければ国際競争に勝ち抜けない分野でもあると指摘。そのため、統合新会社であるレゾナックの売上規模が大きいことは重要だと強調した。
昭和電工グループにおいて半導体/電子材料は売上高の3割以上を占める。「当社にとって半導体ビジネスは最大規模かつ最重要のセグメントだ」(真岡氏)。さらに、昭和電工の強みが「より多くのセグメントで優位なポジションを持っていること」だと真岡氏は強調する。
真岡氏は、「“作る化学”を得意とする昭和電工と、“混ぜる化学”を得意とする昭和電工マテリアルズが統合することで、前工程から後工程まで幅広く半導体材料をカバーできるようになる」と語った。
「半導体デバイスメーカーの合従連衡が進む中、材料分野でもM&Aが必要な事業環境になってきている。当社は、昭和電工と旧日立化成の統合により、売り上げ規模でもセグメント数でもリードできる存在になったと確信している」(真岡氏)
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