検索
連載

「令和版所得倍増計画」の正体 〜全国民参加の不労所得獲得戦略「お金に愛されないエンジニア」のための新行動論(9)(3/9 ページ)

今回は、「令和版所得倍増計画」について、もう一歩踏み込んで分析してみました。その結果、この計画は、「日本の国民全員参加による、不労所得の獲得戦略」であることが見えてきました。うん、ならば意外に悪くはない、一口乗ってみるかという気にもなってきます。

Share
Tweet
LINE
Hatena

「新しい資本主義のグランドデザイン」をレビューしてみる

 さて、ここからは、前回途中で放り出した、「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画〜人・技術・スタートアップへの投資の実現〜」のレビューを行いたいと思います。

 ですが、その前に、前回の議論となった「新しい資本主義って何?」にさかのぼって思い出しましょう。前回は、これまでの資本主義が、大きな政府と小さな政府でゆれ動きながら、現在の資本主義に至っているというお話をしました。

 そして、前回の最後のページで、「新しい資本主義とは、『”成長”をアテにしない資本主義』である」という、後輩の主張を思い出しながら、現在の各国の資本主義の状況を、以下のような図で表してみました。

 今回は、縦軸を「大きい政府と小さい政府」、横軸を「保護貿易経済とグローバル経済」で、整理しました。

 ロシアや中国は、エネルギー算出国でもあるので、横軸には自由に動くことができます。ただ、歴史的に政治支配は、統制的(というか独裁的)であるので、政府はずっと大きいままです。

 比して、ドイツや日本は、エネルギー資源がありませんので、保護貿易なんぞやったら/やられたら、即死する運命にあります。故にこの2つの国は、歴史的かつ地政学的に、他の国にちょっかいを出し/出されて、国際的にイザコザを続けてきました(私見ですが、ドイツの暴走を防ぐ装置としてEUが、日本の暴走を防ぐ装置として日米安保がある、と見ています)

 これに対して、米国は、やること(例:他国への戦争)が早くて過激ですが、その反動も早くて、戦争で景気を良くしたり悪くしたりするなど、自業自得でいろいろな資本主義を迷走してきたように見えます。

 とはいえ、現時点で、どの資本主義も、”成長抜き”では語れない、という点では同じです。

 新しい資本主義は ―― 特に日本においては ―― エネルギー資源なし、人材(人口)なし、信頼できる国なしの、ナイナイ状態での資本主義、ということになりそうで、「そんなものあるかぁ?」と考えるだけで、憂鬱(ゆううつ)な気持ちになります。

 と、まあ、前回の背景を復習したところで、今回の、この「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画」という長いレポート(35ページ)を、できるだけ短いフレーズで、江端の悪意の解釈を含めて、江端の心にヒットした部分だけを抽出して、解説したいと思います。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ページトップに戻る