「諦め感から風向き変わる」、半導体政策の本格化で:SEMIジャパン代表取締役 浜島雅彦氏(2/2 ページ)
半導体製造装置や材料に焦点を当てた展示会「SEMICON Japan」が2022年12月14〜16日に東京ビッグサイトで開催される。今回、目玉の一つとなるのが、半導体パッケージングに特化したスペースとして新設される「Advanced Packaging and Chiplet Summit(APCS)」だ。SEMIジャパン代表取締役 浜島雅彦氏に、APCSの狙いや、昨今の半導体業界を取り巻く環境の変化などを聞いた。
デカップリングは、技術の進化が遅くなる
――2022年11月には、Rapidus(ラピダス)の設立が発表されました。
浜島氏 偉大なチャレンジだが大いに期待したいし、業界をあげてサポートしたいと思う。
――昨今の半導体業界は、半導体製造の自前主義が活発になり、米中対立など分断(デカップリング)の動きが止まりません。
浜島氏 メーカーは、国の規制とビジネスとの間で板挟みになっている。本来、半導体デバイスは規模の経済でコストが下がっていくものだ。だが、自前主義では確実にコストは上がり、技術進化のスピードが遅くなる。その影響は最終的に、消費者に、はね返ってくる。規模の経済で製品や商品の価格が下がり、それによって用途の裾野が広がるというサイクルのスピードが遅くなるということは、つまり、人々の生活向上のスピードが遅くなってしまうのではないか。
――人材の獲得や育成については、いかがですか。
浜島氏 半導体業界に対する学生の認知度はまだ高くはないが、向上している。ただし、底上げには時間がかかるだろう。とはいえ、例えば九州で、産官学で半導体人材育成の取り組みが始まるなど、具体的に動き出していることも確かだ。産官学が一体となり、取り組みの規模を大きくしていく機運は高まっている。
――SEMICON Japanの来場者に向けてメッセージをお願いします。
浜島氏 新製品がたくさんあるので、楽しんでほしい。APCSの他、eスポーツ関連のイベントも開催する。ぜひ来場して、積極的に新しい情報を取りに来ていただけたらと思っている。
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