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数兆円の赤字の可能性も――Rapidusに問われる“覚悟”「SEMICON Japan」でアナリストが議論(1/2 ページ)

2022年12月15日、「SEMICON Japan 2022」で行われたセミナー「Bulls&Bears 〜半導体製造装置市場の原則と成長再開のシナリオ」で、証券アナリストやコンサルタントなど4人の専門家が半導体製造装置市場の展望を予測した。

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 2022年12月15日、エレクトロニクス製造/サプライチェーンの展示会「SEMICON Japan 2022」(2022年12月14日〜16日、東京ビッグサイト 以下、SEMICON)で、4人のアナリストが半導体装置市場の展望を語るセミナー「Bulls&Bears 半導体製造装置市場の原則と成長再開のシナリオ」が行われた。

 Bulls&Bears
Bulls&Bears 半導体製造装置市場の原則と成長再開のシナリオ[クリックで拡大]

Rapidusは“厳しい”――成功のカギは?

 UBS証券調査本部共同本部長の安井健二氏
UBS証券調査本部共同本部長の安井健二氏 出所:SEMICON Japan

 セミナーでは、2022年8月に設立されたRapidus(ラピダス)も話題に上った。なお経済産業省は2022年11月11日、2nmプロセス以下の次世代半導体の製造基盤確立に向けた研究開発プロジェクトの採択先をRapidusに決定したと発表している。

 UBS証券 調査本部 共同本部長の安井健二氏は「Rapidusの成功はとても厳しいだろう。半導体業界にはサイクル(市場の波)があり、場合によっては数千億円、数兆円の損益が出る可能性もある。TSMCやサムスン(Samsung Electronics)も同じだったが、大きな損益が出ても怯むことなく目的に向けて経営を続ける“覚悟”のある人がトップを務める必要がある」と経営陣の重要性を語った。

 ジェフリーズ証券調査部マネージングディレクターの中名生正弘氏
ジェフリーズ証券調査部マーケティングディレクターの中名生正弘氏 出所:SEMICON Japan

 ジェフリーズ証券 調査部 マネージングディレクターの中名生正弘氏は、「Rapidusは目指すビジョンが不明確で危うい状態だ」とした上で、「2nm以下の半導体製造は現状TSMCに頼らざるを得ないので、求心力のある半導体関連の企業を日本につくり、日本で製造を可能にすることに意味はあるだろう。しかし、日本でファウンドリーを中心にビジネスをしようとしているのであれば2020年代後半の量産開始では遅く、700億円の投資と言うのは少ない。成功にはファブレスとファウンドリーをつなぐエンジニアリングが非常に重要だが、経済産業省から明確な方向性は示されていない。本当に日本の半導体業界を活性化させたいのであれば、プロセスだけではなく、勝てるアプリケーションに力を入れていくことが大切だろう」と述べた。

 東海東京調査センター グローバルテクノロジー調査室長兼チーフアナリストの石野雅彦氏は、「Rapidusは出資先が重要で、特にトヨタ自動車、ソニー、NTTが中核を担うだろう。例えば、2030年には大幅な成長が予測されているADAS(先進運転支援システム)分野においては、トヨタ自動車がデータを集め、ソニーがデータを使用し、NTTがIOWN(アイオン:Innovative Optical and Wireless Network)でデータを制御する流れが想定できる。そのためには、日本国内でチップを作ってくれる企業が必要になる。確かにお金の問題はあるが、時代を変えるためには必要な取り組みではないか」と説明した。

 三菱UFJモルガン・スタンレー証券インベストメントリサーチ部シニアアナリストの長谷川義人氏は「できない理由を並べるのは簡単なので『これなら勝てる』という場所を見つけることに注力してほしい。2020年代後半の量産開始とのことなので、そのころにはTSMCやIntelも技術が進化している。『2nm』にこだわってしまうとうまくいかないかもしれないので、配線やパッケージング技術などトータルで勝負することも検討してはどうか」との見解を語った。

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