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「RISC-Vは不可避の存在」、RISC-V Summit 2022詳報歴史や現状、各社の最新開発動向まで(1/3 ページ)

RISC-V ISAの管理/推進を目指すコンソーシアム「RISC-V International」が2022年12月に開催した「RISC-V Summit 2022」について、当日行われた講演の内容や各社の最新開発動向などを紹介する。

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 RISCの共同開発者であるDavid Patterson氏は、2022年12月に掲載された米国EE Timesのゲスト論説の中で、RISC-V命令セットアーキテクチャ(ISA)に関する5つの誤解について説明している。また、RISC-V ISAの管理/推進を目指すコンソーシアム「RISC-V International」のプレジデントを務めるCalista Redmond氏は、2022年12月12〜15日(米国時間)に開催した「RISC-V Summit 2022」において、「RISC-Vはもはや不可避の存在だ」と明言した。

RISC-V Internationalのプレジデント、Calista Redmond氏
RISC-V Internationalのプレジデント、Calista Redmond氏 出所:RISC-V International

あらゆるプロセッサコアに対応する「最高のエコシステムを実現」

 Redmond氏は、「RISC-Vはいずれ、最高クラスのCPUと、そこで動作可能なソフトウェアが開発され、あらゆる種類のマイクロプロセッサコアシリーズに対応可能な最高のエコシステムを実現するだろう」と述べた。RISC-Vは、開発されてからまだ10年程度の初期段階で、はるかに優れた実績を持つArmおよびx86との競争下にあることから、このような同氏の発言は、極めて強気なメッセージだ。まるで、「スタートレック」に登場する架空の機械生命体の集合体であるボーグ(Borg)が、「抵抗は無意味だ(Resistance is futile)」と言った時と同じような状況ではないだろうか。

 Redmon氏が「RISC-Vは不可避だ」と述べた理由は、RISC-Vの成長と成功が、さまざまな企業や大学などの資金提供者たちの上に成り立っているからだ。RISC-V Internationalの参画メンバーの数は、3180を超える。これまで、インドやEUをはじめとしたさまざまな国や地域の国家プログラムも含め、数十億米ドル規模の資金が投じられてきた。数多くのアイデアや集合知によって、複数の価格帯や性能カテゴリーにおいて、最高クラスのプロセッサの開発を実現することが可能となる。RISC-Vは拡張性、カスタマイズ性、モジュール性に優れ、さまざまなワークロードやアプリケーション向けに容易に最適化することが可能だ。

 現在、ソフトウェアエコシステムが成長を遂げ、プロファイルや単一ハイパーバイザーの標準化など、ソフトウェア開発の効率化に向けた取り組みが進んでいるところだ。

RISC-Vの歴史

 RISC-Vは、イーサネットなどと同様に、オープン仕様であり、カリフォルニア大学バークレー校(University of California, Berkeley)が、RISC(Reduced Instruction Set Computer)の設計に白紙の状態から取り組み開発された。これまでにさまざまな種類のRISC ISAが開発されて、例えば29Kや、Alpha、Arm、i960、MIPS、PowerPC、SPARCなどが挙げられる。これらのRISCアーキテクチャは全て、企業が保有していて、その多くが時代遅れとなっている。

 カリフォルニア大学バークレー校の研究者たちは当時、企業所有ではない白紙の状態のものを、まずは教育利用を目的として開発すべき時が来たと考えた。しかしすぐに、教育目的の枠を超えた有用性があることが分かったのだ。

 こうしてさまざまな企業が、オープン規格を採用したCPUを開発できるようになった。これはつまり、RISC-V CPUを実現する上で数多くの選択肢が存在し、さらにそれが毎年増え続けていくということを意味する。仕様をダウンロードして独自のCPUを開発でき、RISC-V CPUのオープンソース版をダウンロードすることも可能だ。

 また、CPUコアを複数のIP(Intellectual Property)ベンダーから調達したり、カスタマイズされたCPUコアを他のベンダー各社から入手したりすることも可能だ。RISC-Vコア搭載のチップレットや、RISC-Vコアで動作する完全なAI(人工知能)チップの調達もできる。

 命令セット自体は、32ビットから128ビットまでスケーラブルだ。さらに、モジュール性を備えているため、拡張やカスタマイズもできる。

 一方で、Patterson氏が指摘しているように、「このような柔軟性により、アーキテクチャが断片化されるのではないか」との懸念がある。この対策として、RISC-Vは、ソフトウェア/システム互換性が重要なアプリケーションプロセッサ向けに、標準プロファイルを設定する予定だ。RISC-V Internationalは毎年、重要コンポーネントを備えた新しいプロファイルをリリースするという。例えば、過去1年間で最も話題になった拡張機能の一つとして挙げられるのが、計算/AIワークロードの性能を向上させるベクトルだ。またRISC-Vは、拡張/カスタマイズ機能がない場合でも、独自のビジネスモデルを提供し、最も効率的なRISC CPUコアとなる可能性を備えている。

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