低い低周波ノイズを実現、ADIの「Silent Switcher 3」:ノイズ抑制を「音」で示すデモも(1/3 ページ)
アナログ・デバイセズ(ADI)は、同社独自のスイッチングレギュレーター技術「Silent Switcher」の第3世代の概要を説明した。低周波ノイズを低く抑え、高速な過渡応答を実現したことが特長である。
Analog Devicesの日本法人であるアナログ・デバイセズは2023年3月7日に記者説明会を開催し、同社独自のスイッチングレギュレーター技術「Silent Switcher」の第3世代の概要を説明した。
Silent Switcherは、旧Linear Technologyが、小型かつ高効率の電源を実現するために開発した技術。2013年に第1世代となる「Silent Switcher 1」が、2017年に第2世代の「Silent Switcher 2」が発表された。第3世代となる「Silent Switcher 3」は2021年に量産を開始済みだが、今回、国内で公開できるデモが出来上がったため、このタイミングで記者説明会を開催し、デモを披露した。
アナログ・デバイセズでインダストリアルビジネスグループ パワーのシニアマネージャーを務める藤田太郎氏は、「Silent Switcherは、内部のレイアウトおよびパッケージの改善により進化してきた」と説明する。Silent Switcher 1では、
- ボンディングワイヤをフリップチップに置き換えることで寄生成分をなくし、高調波を抑制する
- ホットループを2つの小さなループに分割することで、高調波のエネルギーを低減する
- 2つのループによって磁界を相殺し、EMIの伝搬を阻止する
といった方法で、低いEMI放射と、高速スイッチング、高効率を実現した。
Silent Switcher 2では、LQFNパッケージ内に入力コンデンサーを内蔵した。これにより、ホットループとグランドプレーンをパッケージ内に納められるので、PCB(プリント基板)レイアウトによるEMIの影響を極力抑えられるようになった。「基板のレイアウトは、EMIを抑制するために非常に重要だ。性能が優れた電源ICを使っても、基板のレイアウトが適切でなければEMIが発生してしまう。Silent Switcher 2では、そうした要素を全てパッケージ内に納め、設計者が使いやすいようにした」(藤田氏)。入力コンデンサーを内蔵しているので外付け部品も少なくなり、システムの小型化も実現できるとする。
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