ルネサス、23年度1Qは予想比上振れで着地:2Qもフラットに推移と予想(2/3 ページ)
ルネサス エレクトロニクスの2023年12月期第1四半期業績(Non GAAPベース)は、売上高が3597億円(前年同期比3.7%増)、営業利益が1248億円(同108億円減)、当期純利益が1075億円(同173億円増)となった。
2023年度下期に期待高まる追い風要因は
ルネサスの社長兼CEO(最高経営責任者)の柴田英利氏は、「良くも悪くも見通しづらい」としつつ、第2四半期以降の半導体市場の見通しについても言及した。PC関連の調整局面については、「第2四半期に底打ちという見方は変わっていないが、底打ちした後、どの程度力強く回復するかについては慎重に見ている」と説明。「上期に顧客の在庫調整がかなり進んだので、下期は実需ベースで売り上げが上がっていき、回復していくだろう。基本的には市況並みの売り上げ推移を予測している」とした。モバイル、コンシューマー向けについては、「下期にかけて、さらに落ちていくと見込んでいる」という。
産業向けでは、引き続き不透明感があるものの、「おおむね市況並みで比較的強含みで推移するというのが現在の見方だ」と説明。また、クラウド、データセンターについては、「サーバのプラットフォームの世代交代が下期に首尾よく進めば、市況を上回る成長のドライバーの一つになると考えている」と、改めて期待をみせた。さらにこの分野では、生成AI(人工知能)についても、「展開が速やかに始まれば追い風になるだろう」と触れた。
自動車向けについても全体としては不透明感が強く「楽観はしないようにしている」と述べる一方、追い風要因として日本の自動車メーカーの動向を挙げた。柴田氏は、「日本の自動車メーカーは下期にかけ、グローバルでは比較的生産台数について強い見通しを持っている。これが顕在化すればわれわれの追い風になるだろう」と説明。このほか、中国の景気刺激策ついても、「現時点でははっきりしていないが、下期に出てくれば追加的な追い風になる可能性がある」とした。
なお、自動車向け製品の需給の状況については、40nmプロセスのマイコンが引き続きタイトではあるが、「アプリケーションと顧客によって非常にタイトな状況が続いている所もあれば、顧客サイドの在庫が拡充した来た所もあるという『まだら模様』になっている」と説明。前回の決算発表時と比較すると、緊迫感は緩和されているという。
自社在庫、販売チャンネル在庫の動き
第1四半期における在庫水準に関しては、自社在庫はDOI(Days of Inventory)が前四半期から全体で増加し107日となった。事業別でみると、自動車向けが主に仕掛品を中心に実額、DOIともに増加した一方、産業・インフラ・IoT向けは実額が引き続き減少し、DOIもほぼフラットで推移している。販売チャンネル在庫は、自動車向け、産業・インフラ・IoT向けのいずれも前四半期から増加し、WOI(Weeks of Inventory)は8週半ばで着地した。
自社在庫の増減要因を見ると、金額規模では、前四半期からほぼフラットに推移した。原材料は事業継続計画(BCM)対応として微増しているが、今後は保有水準を維持する予定だ。仕掛品は第1四半期、生産調整による減少が想定通り進んだ一方、自動車向けマイコンのウエハーをファウンドリーから前倒しで購入し、第1四半期末に後工程に仕掛っているため、前四半期からフラットで着地した。第2四半期では工程仕掛が減少する一方、前工程の加工を終えたウエハーを備蓄する「ダイバンク」拡充の継続によって、金額規模は同水準となる見込みだ。
完成品については、需要に応じた出荷を進め、第1四半期は想定通り推移。第2四半期は若干の減少を見込んでいる。
チャンネル在庫は、自動車向け、産業・インフラ・IoT向けともに第1四半期は想定通り推移した。第2四半期については、「下期の需要動向について慎重に見つつ出荷をしている。機会損失をしないようにチャンネルへの水準を若干増やす予定だ」としている。
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