ソニーのイメージセンサー事業、今後の展望と成長戦略:25年度の金額シェア60%は「達成可能」(2/4 ページ)
ソニーセミコンダクタソリューションズのCEO(最高経営責任者)である清水照士氏が、同社事業の現状や今後の展望、成長戦略などについて語った。
大判化トレンドが成長をけん引、スマホ向けの今後は
中長期のイメージセンサー事業の方向性については、モバイル用イメージセンサーの金額市場の見通しは前述の通り、前回見通しから数年遅れでの回復を想定するものの、内訳をみると同社の主力である高級機種向けのセンサーは2030年度までのCAGRが約11%と前回見通し(CAGR約12%)から変化は少なく、「今後もセンサー市場をけん引するドライバーとして期待している」とした。
また、高級機種向け市場におけるセンサーの大判化についても、「2021年度から2022年度にかけて大きく進展し、厳しい環境の中でも大判化トレンドの確信度が高まった一年となった。引き続き大判化トレンドがセンサー市場の成長をけん引することを期待している」とまとめた。
清水氏は、こうした大判化トレンド拡大の背景として、中国のスマホメーカーのフラグシップモデルを中心に、ソニーの1型センサーの採用が加速していることを挙げた。さらに、その他高級機種でも1/1.5型の5000万画素のイメージセンサーが主流となっていることに加え、さらなる大判化の要求もあるといい、清水氏は、「このモメンタムを捉え、大判化の流れをより確実にして行きたい」と述べた。
2層トランジスタ画素積層型CISに注力、さらなる差異化技術も
また、2層トランジスタ画素積層型CMOSイメージセンサーの量産開始についても強調(2023年5月に発表したソニーの「Xperia 1 V」に初めて搭載された)。「ダイナミックレンジの拡大と低ノイズを実現する差異化技術として、2023年は本製品のローンチに注力して行く」と説明した。清水氏は、同製品について、今後も「徐々に完成度を上げながら、性能を上げていきたい」と述べた。
こうした大判化や差異化技術への要求の高まりから、清水氏は、「モバイルイメージングが引き続き、われわれの成長ドライバーであると考えている。モバイル用のイメージセンサーの技術進化には、まだまだ多くの余地がある」とも説明。現在のRGBセンサーから取れる2Dの画像情報に加え、ToF(Time of Flight)イメージセンサーを用いた「深度」、イベントベースビジョンセンサー(EVS)による「時間」、近赤外線(NIR)センサーによる「スペクトル」といった別次元の情報を付加することで、モバイルイメージングの提供価値をさらに高めていく方針を示した。清水氏は、「このような多種多様なセンサー技術を持つ企業はわれわれ以外に存在しない。センサー技術としての総合力はわれわれの圧倒的な強みだ」と強調していた。
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