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目の動きから心の動きを読み取る、NTTの研究瞳孔反応や眼球運動を測定(1/3 ページ)

NTTコミュニケーション科学基礎研究所は「NTTコミュニケーション科学基礎研究所オープンハウス2023」のメディア向け内覧会で、細かな目の動きによるマインドリーディングの研究成果を展示した。遠隔操作でも柔らかく動くロボット、複数の話題が混ざった音声から興味のあるものを抽出する技術なども併せて発表された。

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 NTTコミュニケーション科学基礎研究所(以下、CS研)は2023年5月29日、最新の研究成果を紹介する「NTTコミュニケーション科学基礎研究所オープンハウス2023」に先立ち、メディア向けの内覧会を開催。オープンハウスで公開される16の研究のうち5つが内覧会で展示された。本記事ではその中から「細かな目の動きから心の動きを読み取る」、「離れていても柔らかく触れる?」、「興味のある話題に聞き耳を立てる」と題した3つの研究について紹介する。

細かな目の動きから心の動きを読み取る

 人間の目は意識せずとも、瞳孔の拡大や収縮、細かな眼球運動(マイクロサッカード)を起こしている。CS研ではそれらの測定値を解析し、何に注意を向けているか、何を好むかといった心の動きを推測するアイメトリクスマインドリーディングの研究を行っている。マインドリーディングにはMRI装置を使って脳活動を調べる磁気共鳴機能画像法(fMRI)などの方法もあるが、目の動きは脳活動より簡便に測定することができる。

マインドリーディングの手法
マインドリーディングの手法[クリックで拡大]

 この研究は、異なる方向から複数の音が流れてきたとき、どの方向の音に注意を向けたかを瞳孔径の変化から読み取れる可能性を明らかにした。瞳孔は明るいところを見ると収縮し、暗いところを見ると拡大するが、視線を動かさずとも音に注意を向けるだけで瞳孔径が変化するのだという。

 内覧会ではデモ展示が行われた。被験者はディスプレイの前に座り、ヘッドフォンを装着する。ディスプレイにはライブ会場の画像が表示される。左半分は暗い客席で右半分は明るいステージだ。ヘッドフォンの左側からは客席の会話が、右側からはステージでの演奏が流れる。まず、視線を動かした場合の瞳孔反応を測定する。瞳孔は客席を見ると拡大し、ステージを見ると収縮した。次に、視線を動かさない場合を測定する。被験者は視線を画面中央、客席とステージの中間から動かさず、客席の会話に耳を澄ませる。続いてステージでの演奏に集中する。すると、視線を動かした場合と同様に瞳孔が反応した。

視線位置はそのままで瞳孔径が変化している
視線位置はそのままで瞳孔径が変化している[クリックで拡大]

 この研究は、瞳孔反応など細かな目の動きの測定データと認知状態に一定の相関があることを明らかにした。今後は、脳の神経基盤の働きについて理解を深める研究につなげていくとする。日常生活レベルでの活用方法としては、注意を向けている側の音を強調する補聴器や、授業や会議で何に注意が集まっているかを測定するデバイスなどが考えられる。

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