ソニー、イメージセンサー事業の通期予測を下方修正:スマホ市場「想定以上に悪化」(1/2 ページ)
ソニーグループのイメージング&センシングソリューション分野の2023年度第1四半期業績は、売上高が前年同期比23%増の2927億円、営業利益は同41%減の127億円だった。同社は同分野の通期見通しを下方修正した。
ソニーグループ(以下、ソニー)は2023年8月9日、2024年3月期(2023年度)第1四半期(4〜6月)決算を発表した。イメージング&センシングソリューション(I&SS)分野の売上高は前年同期比23%増の2927億円と大幅増収になった一方、営業利益は同41%減の127億円と減益になった。なお、調整後OIBDA※)では同4%増の700億円と増益になっている。
ソニーは今回、2023年度通期見通しを前回発表(2023年4月)から見直した。スマートフォン市場の回復が前回見通しより遅れていることなどを要因とし、同分野の売上高は前回予想比400億円減の1兆5600億円、営業利益は同200億円減の1800億円にそれぞれ下方修正した。
※調整後OIBDA(Operating Income Before Depreciation and Amortization):営業利益と減価償却費および償却費(コンテンツ資産に含まれる繰延映画製作費、テレビ放映権、自社制作のゲームコンテンツおよび原盤制作費、繰延保険契約費の償却費を除く)からソニーグループが非経常的と判断する損益を除いた指標。
2023年度第1四半期、売上高は大幅増
I&SS分野の売上高は、モバイル機器向けイメージセンサーが製品ミックス改善や販売数量の増加によって増収となったほか、為替のプラス影響が232億円分あり、前年同期比549億円増の大幅増収となった。一方で、営業利益は、主に減価償却費の増加のほか、製造経費の増加や産業/社会インフラ向けイメージセンサーの減収、研究開発費の増加から同90億円減となった。なお、減価償却費の増加を含まない調整後OIBDAでは、同27億円増の増益となっている。
ソニーはイメージセンサーの主要市場であるスマートフォン製品市場について、中国における市場回復の遅れに加え、欧州市場の長期低迷、さらに北米市場の減速など、「足元でこれまでの想定以上に悪化している」と説明。2023年4月の前回発表時は、下半期から緩やかな市場回復を想定していたが、今回この市場回復が「年明けから2024年度以降にずれ込む」と見通しを改めた。
同社執行役員財務/IR担当の早川禎彦氏は、「スマートフォンメーカー各社は部品調達のさらなる調達を進めており、特に第1、第2四半期ではこの影響を大きく受けている」と説明。さらに、産業/社会インフラ向けイメージセンサーでも、「中国の景気回復遅れによる影響が顕著に見えている」とし、通期予想について、売上高を400億円下方修正した。また、営業利益および調整後OIBDAについても減収影響のほか、新製品量産立ち上げに伴う費用増などからそれぞれ200億円、下方修正した。
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