業界標準のパイオニアを表彰、フラッシュメモリサミット:Amber Huffman氏(1/3 ページ)
2023年8月に開催されたフラッシュメモリに関する世界最大のイベント「フラッシュメモリサミット(FMS:Flash Memory Summit)」の主催者は、Intelでの初期段階の取り組みから始め、重要な業界標準規格を定義/推進してきたAmber Huffman氏に、生涯功労賞を授与した。
Amber Huffman氏がエンジニアになったのは偶然からだったが、半導体業界にとっては幸運だったといえるだろう。この分野では、内向的な人々が集まる場合が多いものの人々が一体となって協業することが求められるという中、同氏は外向的な人だった。
2023年8月に開催されたフラッシュメモリに関する世界最大のイベント「フラッシュメモリサミット(FMS:Flash Memory Summit)」の主催者は、Huffman氏がIntelでの初期段階の取り組みから始め、重要な業界標準規格を定義/推進してきたその業績に対し、生涯功労賞を授与した。
しかし同氏は、そもそも半導体業界、さらにいえばテクノロジー分野の一員になることを目指していたわけではなかったという。
Huffman氏は米国EE Timesの取材に応じ、「私は、エンジニアについて何も知らずに育った。私の家族は、米アイオワ州で養豚を営んでいた」と述べている。
「奨学金が必要だった」Intelから始まったキャリア
同氏は子供の頃、医者か弁護士になるつもりだった。しかし、同氏の英語教師が、その理数系の才能に注目し、関連する奨学金を利用することができると指摘したのだ。「私には絶対に奨学金が必要だったため、工学部に進んだ」(Huffman氏)
理工学部の女性に焦点を当てたIntelの奨学金には、インターンシップが付随しており、その後同氏はIntelの同じグループ内で20年間、標準規格とエコシステムの推進について学んだという。Huffmann氏は、「私は、自分が無理難題なことが得意であると分かった」と語っている。
Huffman氏は、Intelとデータストレージ業界への貢献が認められ、2016年にIntelのフェローに任命された。フラッシュメモリサミットの主催者は2023年8月、「この栄誉にノミネートされた女性は、Intel史上3人目だ。同氏は、ストレージアーキテクチャと関連技術の分野で25件の特許を取得している」と付け加えた。
Huffman氏は、「私の外向的な性格は、特にコードの記述のような作業に独りで集中したい人々を団結させる上で、非常に役に立つということが分かった」と述べている。
同氏はIntelに入社して間もない頃、シリアルATA(SATA)に注力していて、それが後にプログラミングインタフェース「AHCI(Advanced Host Controller Interface)」の開発につながった。SATAは、クライアント/ニアラインデータセンター向けハードドライブインタフェースの主流派となり、同氏は「インテル貢献賞(Intel Achievement Award)」を受賞した。そして2004年には、Appleの「iPod」などの小型電子機器に使われているディスクドライブ向けCE-ATA(Consumer Electronics ATA)の共同開発を主導している。
こうした業績は、現代のコンピューティング分野においてユビキタスな存在となった標準規格を開発すべく、多様な関係者たちの間でコラボレーションを推進していくことに携わるという、同氏のキャリアの始まりにすぎなかった。
Huffman氏は、「何度も課題が繰り返されると、人々の話がかみ合わなくなる。エンジニアとして、われわれは取り組みにおける困難さを非常に高く評価することと、共通点やシンプルさを見つけ出し、団結してもっと簡素化することとを、自然と比較する傾向がある。私が力を入れたのは、人々が共通点を見いだし、複雑性を統合できるようサポートすることによって、協力して問題を分析し、チームとして迅速に前進していくことだ」と述べている。
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