窓ガラスと一体化したペロブスカイト太陽電池、CEATEC 2023で表彰:デザイン性と発電効率を両立
パナソニック ホールディングスは「CEATEC 2023」(2023年10月17〜20日)に出展し、ガラス建材一体型 ペロブスカイト太陽電池を展示した。発電効率は最大17.9%で「従来の結晶シリコン系の太陽電池と同等の発電効率だ」(同社)という。「CEATEC AWARD 2023」のデバイス部門で準グランプリを受賞した技術だ。
パナソニック ホールディングス(以下、パナソニック)は「CEATEC 2023」(2023年10月17〜20日/幕張メッセ)に出展し、ガラス建材一体型ペロブスカイト太陽電池を展示した。
同技術は、独自の材料組成で開発したペロブスカイト材料を、同社のインクジェット技術を用いて、ガラス基板に直接塗布してガラス建材と一体化させたものだ。ガラスのサイズや光の透過率は調整可能なため、今までデザイン性の観点で太陽電池の採用が難しかったビルや住宅の窓、壁面などでの活用が期待される。
発電効率は、実用サイズ(804cm2)かつ全面塗布(光の透過率0%)では17.9%で、「従来の結晶シリコン系太陽電池と同等の発電効率だ」(同社担当者)という。なお、光の透過率と発電効率はトレードオフの関係のため、光の透過率が20%の場合では、発電効率は14.3%となる。
今後について、担当者は「実証実験を通じて、耐久性や発電効率の持続性などを確認する。発電効率向上に向けた研究も並行して行い、5年以内の量産化を目指す」とコメントした。同社は2023年8月、神奈川県藤沢市にある「Fujisawaサスティナブル・スマートタウン」内のモデルハウスのバルコニー(窓部分)で実証実験を開始している。
CEATEC AWARD 2023 デバイス部門で準グランプリを受賞
同技術は、「CEATEC AWARD 2023」のデバイス部門で準グランプリを受賞した。
JEITAは、選定理由について「ペロブスカイト太陽電池は、次世代太陽電池の本命として各社から実用化されつつある。しかし、光の透過率やデザイン性の観点から、実装場所に制約があった。今回、パナソニックが展示した技術は、ガラス基板上に直接塗布して太陽電池を製造するため、サイズや光の透過率などに関するデザインの自由度が高い。また、17.9%という高い発電効率を実現したことから、地球環境にもやさしい『発電するガラス』としてのポテンシャルを評価した」と説明した。
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