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米国がOSAT強化に本腰、Amkorがアリゾナに後工程工場を新設へ最初の顧客はAppleに(1/2 ページ)

米大手OSAT(Outsourced Semiconductor Assembly and Test)であるAmkor Technologyが、アリゾナ州に工場を新設する。自国内の半導体サプライチェーン構築を強化する米国にとって、大きな前進になるはずだ。

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 米国の大手OSAT(Outsourced Semiconductor Assembly and Test)であるAmkor Technology(以下、Amkor)は2023年11月30日(現地時間)、米国アリゾナ州に20億米ドルを投じて組み立て/テスト工場を建設し、TSMCが現在その近隣で建設を進めている半導体工場をサポートする予定だと発表した。Amkorは、最大顧客の一つであるAppleとともに、この工場を米国最大規模となる最先端パッケージング工場にしていく考えだ。

 米国半導体製造業をエレクトロニクス業界の全盛期の状態まで復活させるには、半導体組み立て/テストなどの基本的な裾野産業の再建なしには不可能だ。米国は、国内産業の復活を支援すべく、2023年末までにCHIPS法(正式名称:CHIPS and Science Act)による520億米ドル規模のインセンティブパッケージの承認に向けて準備を進めているが、その支援金の大半が、それほどサポートを必要としていないとみられる半導体メーカーに流れる一方で、低迷している組み立て/テスト分野がないがしろにされるのではないかという懸念の声が上がっている。

米半導体エコシステムに好転の兆し

 一方で米国半導体エコシステムは現在、好転の兆しを見せている。

Amkor CEOのGiel Rutten氏
Amkor CEOのGiel Rutten氏

 AmkorのCEO(最高経営責任者)であるGiel Rutten氏は11月30日の発表時、「現在、米国半導体サプライチェーンが拡大している。当社がアリゾナに新しい最先端パッケージング/テスト工場を建設すると発表した背景には、顧客企業がサプライチェーンを確保し、強力な米国半導体エコシステムの一員となれるよう支援していきたいという、われわれの明確な意図がある」と述べている。

 米国国立標準技術研究所(NIST)は2023年11月20日、CHIPS法が今後、製造インセンティブや研究開発の取り組みをどのようにサポートしていくのかについて、詳細を説明した。NISTは、「National Advanced Packaging Manufacturing Program(国による高度パッケージング製造プログラム)」に向けて約30億米ドルの資金を提供する予定だという(参考)。このプログラムの最初の資金提供については、2024年初頭に発表される見込みだ。

 技術情報サービスを手掛けるTechInsightsのバイスチェアマンを務めるDan Hutcheson氏は、EE Timesの取材に対し、「最先端パッケージング向けとして資金提供が確約されたことが、Amkorの取引きを成立させる手助けとなった可能性がある」と述べている。

 「Amkorはこの新しい最先端パッケージング工場の設立により、CHIPS法の資金援助の列に並ぶことが可能になった」(Hutcheson氏)。Amkorは、CHIPS法の補助金を申請済みであることを明かしている。

 Hutcheson氏は、「最先端パッケージングは、組み立て/テストよりもウエハー製造と密接に関連している」と指摘する。「高性能パッケージングとウエハー製造の間のハンドオフがまだ未成熟であることを考慮すると、AmkorとTSMCの製造工場が物理的に近くなれば、成功の可能性が高くなる」(同氏)

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