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消費電力が一般品の半分&瞬停にも対応、TDKの産業向け新SSD詳細PCIeに初対応、産業用途に特化(1/2 ページ)

TDKが、高速バスインタフェース規格「PCI Express(PCIe)」に同社として初めて対応した産業機器向けのM.2 2280タイプSSD「SNP1Aシリーズ」を開発した。信頼性や安定動作が重視される産業用途に特化する形で開発したという同製品の詳細を、TDKの担当者に聞いた。

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 TDKが、高速バスインタフェース規格「PCI Express(PCIe)」に同社として初めて対応した産業機器向けのM.2 2280タイプSSD「SNP1Aシリーズ」を開発した。2024年1月に発売する。新たに開発した自社製のNAND型フラッシュメモリ(以下、NAND)コントローラーIC「GBDriver GX1」によって、一般的なPCIe/NVMeインタフェース対応のSSDと比べ半分程度という低い消費電力を実現。突然の瞬停などの電源遮断にも対応する新開発の電源遮断対策回路なども搭載した。信頼性や安定動作が重視される産業用途に特化する形で開発したという同製品の詳細を、TDKの担当者に聞いた。

速度ではなく、高信頼性や安定動作を重視

産業機器向けのM.2 2280タイプSSD「SNP1Aシリーズ」
産業機器向けのM.2 2280タイプSSD「SNP1Aシリーズ」[クリックで拡大] 出所:TDK

 近年、ホストシステムのSATA接続ポートが減少し、PCIe/NVMe接続のSSDの需要が増加している。ただTDKによると、PCIe/NVMeインタフェース対応のSSDは、サーバやハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)、エンターテインメント機器などに向け転送スピードを重視する製品が多数を占めているという。

 TDKは20年以上にわたりSSD事業を展開していて、産業分野に特化したSSDを開発/提供している。同社の説明担当者は、「顧客からは、『SATAの接続ポートが少なくなってきたので、一般的なPCIe対応SSDを試したが、使い勝手が悪い/信頼性が低い』といった意見があり、早めに当社に作ってほしいという要望を聞いていた」などと説明。こうした経緯から、今回、TDKのSSDがメインターゲットとする産業分野で求められる、高信頼性や安定動作に主眼を置いた製品を開発したという。

 TDKは、独自のNAND制御技術によって高信頼性を確保しつつも高速アクセスを実現するNANDコントローラーIC「GBDriver」シリーズを手掛けていて、3D NAND用としてもSATA対応の「GS2」を開発、GS2搭載のSSDなどを展開している。今回、TDKは新たに3D NAND用でPCIe対応の「GX1」を開発。従来製品で培ってきたノウハウをつぎ込み、高い信頼性や安定動作および低消費電力/低発熱などを実現したとしている。なお、SNP1Aシリーズはキオクシア製の3D NANDを搭載している。

3D NANDの特長についてTDKの自社開発NANDコントローラーIC。PCIe Gen4対応のICも計画中だ 左=3D NANDの特長について/右=TDKの自社開発NANDコントローラーIC。PCIe Gen4対応のICも計画中だ[クリックで拡大] 出所:TDK

 GX1ではPCIeのGen 3に対応した。前述のサーバやエンターテインメント機器など転送スピードを重視する機器ではPCIeのGen 4やGen 5が用いられることが多いが、その場合、消費電力が上がり、発熱の対応のためヒートシンクの取り付けなども必要となる。産業用途の場合はヒートシンクの取り付けが難しい場合もある他、発熱による一時的な転送速度の低下なども望ましくないことから、「あえてGen 3に合わせた製品にすることで、SATAに比べれば十分高速化しつつも、ヒートシンク不要な低発熱を実現した。コントローラーICの工夫も含め、一般品比で半分以下の消費電力を実現した」(説明担当者)という。この低消費電力特性からエッジコンピューティング機器の長時間駆動も実現可能としている。

 なお、産業用途で一般的に使われているSATAタイプのTDKの従来製品比で、読み出し速度は約4.7倍の最大1700Mバイト/秒(MB/s)、書き込み速度は3.6倍の1200MB/sを実現するという。

低消費電力と低発熱の性能についてSATA対応のGS2や他規格との比較
低消費電力と低発熱の性能についてSATA対応のGS2や他規格との比較[クリックで拡大] 出所:TDK

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