2024年の半導体市場、本格回復はメモリ次第 〜HBMの需要増で勢力図も変わる?:湯之上隆のナノフォーカス(69)(1/5 ページ)
半導体市場の本格的な回復が予想されている2024年。鍵を握るのがメモリだ。本稿では、DRAM/NAND型フラッシュメモリの価格推移と企業別売上高の動向から、半導体市場の回復基調の時期を探る。さらに、そこから読み取れる、メモリメーカーの“栄枯盛衰”を示す。
波乱の出だしとなった2024年
元旦早々、能登地震が起きたかと思うと、翌2日に羽田空港で飛行機同士の衝突事故があった。何という波乱含みの出だしであるかと筆者は驚いている。被災された方々、企業、地方などの1日も早い復興を願わずにおれない。
そしてことし2024年は、世界半導体市場も本格回復が期待される1年である(図1)。世界半導体市場統計(WSTS)によれば、コロナ特需が起きた2022年は過去最高の5732億米ドルを記録したが、特需が終わった2023年は5201億米ドルに沈んだ。しかし、2024年は、2022年を超えて再び過去最高の5884億米ドルを出荷すると予測されている。
ここで、Mos Micro、Mos Memory、Logic、Analogについて、2023年11月までの3カ月移動平均の出荷額推移を見てみよう(図2)。Logicは既に、2022年5月のピーク(154億米ドル)を超えて、2023年11月に過去最高の164億米ドルを記録している。また、Mos MicroとAnalogも2023年の落ち込みはそれほどひどくないため、過去最高を更新するのに、それほど時間はかからないだろう。
問題は、コロナ特需が終わり大きく落ち込んだMos Memoryである。Mos Memoryは2022年5月に142億米ドルを記録したが、その後、急降下して、2023年2月にピーク時の約40%の58億米ドルまで減少した。そこから回復に向かっているが、2023年11月はピーク時の64%の91億米ドルにとどまっている。このMos Memoryの出荷額が2022年のピーク時レベルに戻ってきて初めて、世界半導体市場は本格回復したと言えるだろう。
では、それはいつ頃になるのだろうか?
本稿では、Mos MemoryをDRAMとNAND型フラッシュメモリに分け、それぞれの価格推移と企業別売上高(シェア)の動向から、世界市場が本格回復する時期の推測を試みる。そして、その過程で、メモリメーカーの間には、明確な栄枯盛衰が見て取れることを示したい。もしかしたら、メモリメーカーの再編や下克上が起きるかもしれない。
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