先進パッケージング技術にまい進する米国 「アジアへの依存度を下げる」:TSMCは需要増への対応に苦慮(1/3 ページ)
米国が、先進パッケージングの生産拡大に力を入れている。ハイブリッドボンディング技術への積極投資を進めるNHanced Semiconductorsは、「米国で初めて」(同社)、先進パッケージングサービスを提供する専門企業の一つになる見込みだという。
NHanced Semiconductors(以下、NHanced)のプレジデントと専門家たちが米EE Timesに語ったところによると、同社はハイブリッドボンディング分野への投資により、米国で初めて先進パッケージングサービスを提供する企業の一つになる見込みだという。
同社は現在、主にアジアの半導体パッケージング分野において地位を確立しているが、今回数億米ドルの投資を行うことにより、同分野における米国の存在を再び世に知らしめていきたい考えだ。ハイエンドをターゲットに定め、ハイブリッドボンディングを使用して、10ミクロンの範囲内でチップダイとインターコネクトピッチを統合するという。
NHancedのプレジデントであるBob Patti氏は、EE Timesの取材に応じ、「当社は異種材料のハイブリッドボンディングに関しては、世界唯一の商用サプライヤーだ。他社に3年ほど先駆けて有利なスタートを切っている」と語った。
パッケージング技術を専門とするTechSearch Internationalのプレジデントを務めるJan Vardaman氏は、「NHancedは、米国で最初にハイブリッドボンディングを手掛ける企業の一つになるだろう」と述べる。
同氏は、「NVIDIAのAI(人工知能)向け製品から驚くほどの需要が生じたことを受け、現在ではシリコンインターポーザーとそのアセンブリ能力が不足している。米国には、シリコンインターポーザーの供給源を国内に求める企業が存在しており、NHancedはこうした企業に対応できるはずだ」と述べる。
米インディアナ州にあるPurdue University(パデュー大学)のヘテロジニアスインテグレーション研究/パッケージングセンターで共同ディレクターを務めるGanesh Subbarayan氏によると、同校はNHancedの製品開発に向けた研究を提供しているという。
Subbarayan氏はEE Timesの取材に対し、「NHancedは、防衛関連の先進パッケージングの製造に関して、非常にユニークな能力を持っている」と述べる。
需要増への対応に苦慮するTSMC
TSMCの経営幹部は、2024年1月に行った四半期業績発表において、「当社は、NVIDIAのような顧客企業からの先進パッケージング需要に対応することができない」と述べている。先進パッケージングは、AI/HPC(高性能コンピューティング)向けチップの高性能化や低コストか、低消費電力化の実現に欠かせない技術だ。
TSMCのCEO(最高経営責任者)であるC.C. Wei氏は、「生産能力不足は、2025年まで続くだろう。われわれは2024年に生産量を倍増させているが、それでも不十分であるため、2025年も引き続き拡大していきたい。少なくとも今後数年間は、3D(3次元) ICやSOI(Silicon On Insulator)向け『CoWoS(Chip-on-Wafer-on-Substrate)』の成長率が、CAGR(年平均成長率)50%超となる見込みだ」と述べている。
TSMCの2.5Dウエハーレベルパッケージング技術であるCoWoSは、1つの基板上に複数ダイを集積することができる。
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