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「2030年に1兆ドルの市場」を目指すなら、半導体工場はまだ足りないSEMIのCEOが主張(1/3 ページ)

SEMIのプレジデント兼CEO(最高経営責任者)を務めるAjit Manocha氏は、米国EE Timesによるインタビューで、「半導体業界が2030年に1兆米ドルの市場規模を達成するには、工場の生産能力がまだ不十分である」と指摘した。【訂正あり】

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 SEMIのプレジデント兼CEO(最高経営責任者)を務めるAjit Manocha氏は、オーストリアのウィーンで2024年3月6〜8日に開催された「Industry Strategy Symposium(ISS) 2024」においてオープニング基調講演に登壇し、「2023年には多くの人々が、『米国の半導体業界が現在の成長軌道を維持すれば、2030年までに1兆米ドル規模の市場になる可能性がある』という話をよく耳にしたのではないだろうか。しかし、これはそう簡単なことではない。2026年までに世界全体で109件の工場が稼働を開始する予定だが、それでも米国には生産能力がないからだ」と語った。

 米国EE Timesはビデオインタビューを行い、こうした数字について掘り下げ、業界が直面するさまざまな課題について議論した。Manocha氏が今回語った内容としては、AI(人工知能)や次の波となる量子コンピューティングがもたらすチャンスにより、2050年までに市場規模が5兆米ドルまで押し上げられるということや、同氏が半導体関連の諮問委員会に参加しているインドが、最近国内エコシステムに150億米ドル規模の投資を行ったというニュースが示唆する内容についての他、半導体の生産に不可欠な合成化学物質であるPFAS(パーフルオロキルおよびポリフルオロアルキル物質/per- and polyfluoroalkyl substance)の使用禁止が差し迫っていることなどがある。

米国EE TimesによるAjit Manocha氏のインタビュー動画

 以下に、Manocha氏が語った内容をまとめる。

「2030年までに1兆米ドル規模」、達成するには生産能力が不十分

 Manocha氏は半導体工場について、「われわれが最近発表した四半期データから、2026年までに世界全体で109の工場が稼働を開始する予定であることが分かる。これら109の工場のうち89の工場は、既に着工や建設、最初の装置設置、ウエハー製造などの段階に進んでいる。概算によれば、2026〜2030年の間に100近くの工場が立ち上がる見込みだ」と語る。

 Manocha氏は、一般の人々にとって工場の仕事が重要である理由についても説明した。「各工場では約2000人の従業員が働いており、給料は高い。工場の従業員1人に対して、工場周辺のエコシステムには5人の従業員が存在する。つまり、それぞれの工場が1万〜1万2000人の雇用を創出しており、これを100件超の工場数で乗じれば、どれだけの人数になるかが分かるだろう。工場が建設される地域にとって、これは非常に大きな成長要因となる。工場は、雇用機会をもたらすのだ」(同氏)

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