受託開発の内容を「メニュー」としてサービス化、日立が本格展開:FPGAへの置き換えやEOL対策など(1/3 ページ)
日立情報通信エンジニアリングが、受託開発サービスを「メニュー」として体系化したサービスの展開に本腰を入れている。提供するサービスをある程度固定化し、「メニュー」として用意することで、顧客の開発効率の向上を狙う。
受託開発サービスの内容を「メニュー」に
情報通信機器や制御機器の受託開発サービスを手掛ける日立情報通信エンジニアリングは、2023年度から「メニューベースエンジニアリングサービス」の展開に力を入れている。
日立情報通信エンジニアリングは、サーバやストレージなど情報通信機器および、関連するソフトウェアの開発、設計、製造、販売などで、長年の経験を持つ。メニューベースエンジニアリングサービスは、同社が手掛けてきた受託開発のノウハウを生かし、設計や製造、サポートなどを「メニュー」として体系化し、顧客が自分たちの要望に合うサービスを選択しやすくしたものだ。
メニューベースエンジニアリングサービスとして、部品のEOL(End of Life)対策として代替部品/回路の提案や基板の再設計などを行う「部品EOL向けリメイクサービス」、古い世代のFPGAを新しいFPGAに置き換える「FPGA向けリターゲティングサービス」、ハードウェアの変更やサポートの終了に伴うソフトウェア更新/開発を支援する「ソフトウェア開発EOL対応サービス」など、6種類を用意している。個々のサービスは、基本メニューとオプションで構成されていて、きめ細かいニーズに応えられるようになっているという。ちょうど、レストランでハンバーグセットを注文し、そこから付け合わせやドリンクの種類を選ぶようなイメージだ。
メニューベースエンジニアリングサービスの大きな狙いは、サービスのベースとなる部分をある程度固定化することで、開発をより速く、効率的に行うことだ。日立情報通信エンジニアリングは、「長年、さまざまな分野で受託開発サービスを手掛ける中で、顧客企業が共通して抱えている課題やニーズが見えてきた。こうした“共通の課題”に応え得るサービスをメニューとして体系化することで、当社はサービスを提案しやすくなり、顧客はサービスを選びやすくなると考えた」と語る。
EOL対策として、基板/モジュールを再設計
“メニュー”の一つである「部品EOL向けリメイクサービス」は、EOL(End Of Life/生産中止)になった部品を搭載した基板やモジュールなどを、代替製品を用いて再設計/再構築するもの。ハードウェア(基板回路、論理設計)だけでなく、ソフトウェアも含めてまとめて対応できる。
半導体や電子部品のEOLは、メーカーの製品戦略上、定期的に発生する。そのため、ユーザー企業は生産管理と設計管理の両面でEOL対応/計画が必要になる。日立情報通信エンジニアリングは、「“EOL”は、顧客からの相談でよく聞かれるフレーズ」だと話す。EOL対応は、通信機器や制御機器のような製品サイクルが長い産業機器において特に必要になるが、製品サイクルの長さ故に「当時の設計担当者や技術者がもういない」といった課題も多い。
部品EOL向けリメイクサービスは、このようなケースでも、代替部品の選定から基板の再設計や実装、試作/量産まで幅広くサポートを提供できることが特徴だ。「ワンストップでリメークに対応できる」と日立情報通信エンジニアリングは強調する。
部品EOL向けリメイクサービスでは、上記のような設計関連以外に、EOL対応の計画や安全在庫の不足、部品在庫費用の低減といった生産管理の課題についても対応する。
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