ソニーの半導体事業、24年度は大幅増収増益へ 過去最高の営業利益見込む:新センサー歩留まり改善は「計画上回るペース」(1/3 ページ)
ソニーグループの2023年度通期のイメージング&センシングソリューション(I&SS)分野売上高は、前年度比14%増の1兆6027億円、営業利益は同9%減の1935億円だった。2024年度通期は、売上高が同15%増の1兆8400億円、営業利益は同40%増の2700億円と予想している。
ソニーグループ(以下、ソニー)は2024年5月14日、2024年3月期(2023年度)通期連結決算を発表した。イメージング&センシングソリューション(I&SS)分野の売上高は前年度比14%増の1兆6027億円となった一方、営業利益は同9%減の1935億円だった。モバイル向けイメージセンサーの増収と為替の好影響から大幅増収となったが、営業利益は、減価償却費の増加および、モバイル向けイメージセンサー新製品の歩留まり改善における費用などの影響から減益となった。なお、調整後OIBDA※)では同8%増の4414億円だった。
ソニーが2023年度から最重要課題とするモバイル向けイメージセンサー新製品の歩留まり改善について、同社執行役員財務/IR担当の早川禎彦氏は「計画を若干上回るペースで進捗している」と説明。2024年度における損益影響については2023年度からほぼ半減となる180億円程度に圧縮できる見通しだという。
※調整後OIBDA(Operating Income Before Depreciation and Amortization):営業利益と減価償却費および償却費(コンテンツ資産に含まれる繰延映画製作費、テレビ放映権、自社制作のゲームコンテンツおよび原盤制作費、繰延保険契約費の償却費を除く)からソニーグループが非経常的と判断する損益を除いた指標。
24年度営業利益は40%の大幅増見込み
I&SS分野の売上高は、モバイル向けイメージセンサーの販売数量増および製品ミックス改善があったことに加え、為替のプラス影響が992億円分あり、前年度比2006億円増の大幅増収となった。営業利益はこの増収および、為替の好影響(+623億円)があったものの、減価償却費の増加およびモバイル向けイメージセンサーの新製品の量産立ち上げにおける費用増、製造経費の増加の影響から同187億円減の減益になった。
ソニーは今回、2024年度通期見通しも公表。I&SS分野は売上高が前年度比15%増の1兆8400億円、営業利益は同40%増の2700億円と大幅な増収増益を予想している。なお、営業利益2700億円は、同分野では過去最高だという。モバイル向けイメージセンサーの販売数量増およびミックスの改善による増収を見込む他、営業利益についても製造費用の増加や減価償却費の増加はあるものの、増収の影響およびセンサー新製品の歩留まり改善による費用の減少によって増益となる見込みだ。調整後OIBDAも同23%増と大幅増の5450億円となることを予想している。
同社は、足元のスマートフォン製品市場について、「中国では前四半期の販売台数が前年同期を若干ながら上回ったものの、米国やアジアなどでの停滞が継続。グローバルでは非常に緩やかな回復基調にあると捉えている」と説明。こうした市場環境の下、同社のモバイル向けイメージセンサー事業は、センサーの大判化および高付加価値化、市場シェアの拡大によって成長を続け、「2024年度も3年連続となる前年度比10%以上の売り上げ成長を見込んでいる」という。
ウエハーベースの生産能力は、2023年度第4四半期が設営ベースで月産15万2000枚(3カ月の平均値)、ウエハー投入枚数は1カ月当たり13万9000枚(同)だった。2024年度第1四半期は設営ベースが月産14万4000枚(同)、投入枚数は1カ月当たり14万3000枚(同)と見込んでいる。
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