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半導体製品の製造中止はいつでも起こり得る ―― 慌てないための「事前準備」とは?半導体製品のライフサイクルに関する考察(7)(1/3 ページ)

半導体を含め、あらゆる製品において「製造中止」は避けられない。そのため開発者は、開発する段階から、使用するあらゆる部品が「製造中止」になる可能性があることを常に考慮しておく必要がある。半導体製品の製造中止は、“事後対応”ではなく、あくまで“事前準備”しておくべきものなのだ。

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半導体製品を「管理」することの重要性

 技術開発のペースは、これまで以上に早くなっている。そうした環境下で、企業が競争力を維持するためには、時代の先頭を行くことが必要不可欠だが、周囲の環境、特に製品の核となり得る半導体製品の動向や状況を把握することも重要になる。特に、長い製品ライフサイクルが要求される市場では、いかにその状況を把握できるかがキーとなる場合が多い。

 2020年頃から発生した、半導体製品の供給不足の状況、それに伴い発生した製造中止製品の増加などを踏まえて、半導体製品を安全かつ継続的に入手できる手段を備えていくことも重要である。

 そこで、今回の連載では、半導体製品の製造中止に焦点を当て、そのリスクと、製造中止に伴うコストを包括的に考える方法について解説していきたい。製造中止によるリスクやコストをあらかじめ見積もることによって、優先順位付けとリスク削減計画を推進させることができるからだ。電子機器を製造する場合、半導体製品の製造中止は、決して後付けで対処すべきことではない。むしろ、シームレスなオペレーションと、中断することなく製造を継続するための“事前の準備”として対処する必要がある。

半導体製品の管理における事前準備

 半導体製品に限らず、あらゆる製品において製造中止は避けられない。時間の経過とともに、製品に採用していた技術は古くなり、より高性能で製造効率の良い製品への転換が必要になるからだ。その一方で、古くなってしまった技術を使用した半導体製品を使わざるを得ないケースが多いことも、広く知られている事実である。

 では、半導体製品が製造中止となったとき、その半導体製品を使用している電子機器も終わりを迎えるのだろうか。答えは「No」だ。ご存じの通り、製造中止となった半導体製品は引き続き入手可能であり、使用することができる。さらに、製造中止された半導体製品を使用した電子機器の製造を計画することもできるし、製造中止した半導体製品を使い続けることにより企業のコストを削減することもできる。ただしそのためには、事前の計画と準備が必要だ。そこでまずは、事前準備について考えたいと思う。

 事前準備とは、文字通り、「製品を開発する段階から、採用する半導体製品の製造中止について準備をする」ということだ。市場調査などの情報から、産業用機器や自動車市場などでは、製品のライフサイクルは短いもので10年、長いものでは20年以上となっている。


製品のライフサイクルと使用年数[クリックで拡大] 出所:Rochester Electronics

 それに対し、経済団体連合会が半導体製品のライフサイクルを調査したところ、半導体製品全体での平均値はおよそ2〜3年だという。さらに、その後に経済産業省が調査したところ、その期間が短くなる傾向であるという結果が出ている。つまり、製品ライフサイクルの長い電子機器を開発する際は、「その製品に使用する半導体製品は、いずれ製造中止になる」ということを認識した上で開発を進める必要があるということだ。

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