イメージセンサーの成長を今後けん引するのは? ソニーが見る半導体市場と成長戦略:半導体レーザーやOLEDの展望も(3/5 ページ)
ソニーグループは2024年5月31日、イメージング&センシングソリューション分野(I&SS)の事業説明会を実施。ソニーセミコンダクタソリューションズの社長兼CEOである清水照士氏が、事業の現状や今後の展望、成長戦略などについて語った。
今後は「動画」がスマホ向けイメージセンサーの成長をけん引
清水氏は、主力のモバイル向けイメージセンサー市場について、「今後の成長をけん引する要因は動画だと考えている」と語った。
モバイル端末のアプリケーション別の通信量推移(左下図)を見ると、動画は2023〜2029年度までCAGR約24%と大きく成長していく見通しだといい、清水氏は、「ハードウェアの観点では、モバイルのカメラ性能を強化していくという流れは今後も続くとみている」と強調。そのうえで、モバイルカメラ性能の進化において重要な特性として右下図の5つを示した。
この5つの特性は、イメージセンサーの性能に大きく依存する。静止画については、イメージセンサーの大判化および、AI(人工知能)との組み合わせによって画質が向上、「人間の眼に肉薄し、一部は超えている」(同社説明)という。静止画は後段の処理に時間をかけ画像を作り込めることも要因ではあるというが、清水氏は「画像処理の効果を最大化するためにも、センサーの特性は大前提として必要で、引き続き進化は求められている」と説明している。
一方、動画は静止画とは異なり、リアルタイム性が顕著に求められることから、センサーの特性が性能の優劣により直結する。
清水氏は、「静止画以上に各特性における性能向上が重要で、技術進化の余地がさらに大きい領域と認識している」と述べ、「われわれはモバイルだけでなく、デジカメやインダストリー、車載など多様なアプリケーションに向けてセンサーを提供してきており、長年かけて培われたさまざまな技術の蓄積がある。このセンサー技術の総合力は、競合に対する当社の強みであり、動画活用がますます広がっていく時代において、この強みがさらに生かされていく」と強調していた。
そして動画性能の向上が最も求められているのが、サブカメラだという。近年、高級機種帯のスマホではリア側に3つのカメラを搭載(広角のメインのほか、超広角や望遠のサブカメラ)するのが一般的だが、清水氏は、「光学サイズの観点からサブカメラはメインカメラの画質に追い付いていないのが現状だ」と説明。特に静止画に比べて動画はその差がより顕著に出ることから、「あらゆるシーンで高品質な動画撮影を実現するには、メインカメラに加えてサブカメラの性能強化が特に必要となる」という。
清水氏は「特にスマホの高級機種市場におけるセンサーの大判化はメインカメラのみでなく、サブカメラでも進んでいくとみている。動画性能の強化に起因する大判化トレンドが引き続き、中長期のセンサー市場をけん引するドライバーになると期待している」と語った。
同社が示した予測図(下図)では、高級機種帯のモバイル用イメージセンサーは、2019年度時点の平均チップ面積を100%とした場合、メインカメラが2026年度ごろには200%を超えるほか、サブカメラについても2024年度には130%を超え、2030年度には170%近くまで拡大することが予測されている。
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