検索
連載

「NVIDIAの時代」の到来 売上高1000億ドル企業の誕生か湯之上隆のナノフォーカス(73)(1/3 ページ)

NVIDIAが絶好調だ。直近の決算では64.9%という驚異の営業利益率をたたき出している。本稿では、NVIDIAの年間売上高がいずれ1000億米ドルに到達する可能性が高いことを、HBM(広帯域幅メモリ)やインターポーザの進化の視点で解説する。

Share
Tweet
LINE
Hatena

NVIDIAの2024年4月期の決算発表


連載一覧はアイコンをクリック

 米NVIDIAが2024年5月22日に発表した2024年4月期(FY2025年第1四半期)の決算によれば、売上高が260.44億米ドル、営業利益が169.09億米ドルで、営業利益率は何と64.9%となった。筆者はこれまで35年間ほど半導体産業に関ってきたが、営業利益率64.9%の半導体メーカーにお目にかかったことはない。また、半導体メーカー以外でも、営業利益率64.9%の企業なんて、あるのだろうか?

 ここで、2017年以降のNVIDIAの四半期の業績を見てみると、2022年11月30日にOpen AI社がChatGPTを公開して以降、同社の売上高と営業利益(率)が急拡大していることがよく分かる(図1)。

図1 NVIDIAの四半期の売上高、営業利益、営業利益率(〜2024年4月期)
図1 NVIDIAの四半期の売上高、営業利益、営業利益率(〜2024年4月期)[クリックで拡大] 出所:NVIDIAの決算報告のデータを基に筆者作成

 次に、NVIDIAの四半期の分野別売上高を見てみよう(図2)。当初、NVIDIAのGPUの多くはGaming用に出荷されていた。ところが、2022年の中旬頃からData Center用がGaming用を上回るようになった。そして、ChatGPTが公開された翌年の2023年4月以降に、Deta Center用が急拡大し、2024年4月期には226億米ドルを記録した。これは、NVIDIAの売上高全体の86.7%に相当する。

図2 NVIDIAの四半期の分野別売上高(〜2024年4月期)
図2 NVIDIAの四半期の分野別売上高(〜2024年4月期)[クリックで拡大] 出所:NVIDIAの決算報告のデータを基に筆者作成

 では、このNVIDIAのすさまじい業績は、半導体売上高ランキングにおいて、どのようなポジションになるのだろうか?

NVIDIAがぶっちぎりのトップに

 NVIDIAの会計年度(Fiscal Year、FY)は、Intel、Samsung Electronics(以下、Samsung)、TSMCが採用しているCalendar Year(CY)とは異なる。例えば、NVIDIAのFY2025年第1四半期(Q1)は、実際は2024年2〜4月であり、FY2025年Q2は2023年5〜7月である(図3)。

図3 NVIDIAの会計年度FY(Fiscal Year)とCY(Calendar Year、カレンダーイヤー)の違い
図3 NVIDIAの会計年度FY(Fiscal Year)とCY(Calendar Year、カレンダーイヤー)の違い[クリックで拡大]

 従って、四半期の売上高について、CYで決算を行っているTSMC、Intel、Samsungと、FYを採用しているNVIDIAを直接比較することはできない。

 そこで、TSMCなどCYの場合は四半期決算の最終月の3月、6月、9月、12月にそれぞれの売上高をプロットし、NVIDIAの場合はFYの最終月の4月、7月、10月、1月で売上高をプロットしたグラフを作成してみた(図4)。

図4 Intel、Samsung、TSMC、NVIDIAの四半期売上高(各社の決算月でプロット)
図4 Intel、Samsung、TSMC、NVIDIAの四半期売上高(各社の決算月でプロット)[クリックで拡大] 出所:NVIDIAの決算報告のデータを基に筆者作成

 すると、2023年12月〜2024年1月頃に、既にNVIDIAが1位に躍進しており、2024年3〜4月頃には、NVIDIAがぶっちぎりのトップに躍り出ていることが分かった。

 それでは、このNVIDIAの飛躍的な成長は、いつ頃まで続くのだろうか? 恐らく、NVIDIAのGPU不足が解消されるまでは続くと考えられるが、それはいつになるのだろうか?

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

       | 次のページへ
ページトップに戻る