「Intel 3」は転換点となるか ファウンドリー事業の正念場:Intelが詳細を発表(1/2 ページ)
Intelが、半導体製造プロセスノード「Intel 3」の詳細を発表した。2021年に製造戦略を刷新したIntelにとって、Intel 3はファウンドリービジネスにおける転換点になるのだろうか。
Intelは、2024年6月16〜20日に米国・ハワイで開催された「2024 IEEE Symposium on VLSI Technology & Circuits」で、半導体プロセスノード「Intel 3」の詳細を発表した。同社のCEO(最高経営責任者)を務めるPat Gelsinger氏は、2021年3月に発表した製造戦略「IDM 2.0」で、4年間で5つのノードを実現すると約束していたが、これはその3番目に当たる。Intel 3は、成熟プロセスノードである「Intel 16」に続く初の先進プロセスノードで、Intelのオングストロームプロセスノードである「Intel 20A」および「Intel 18A」の先駆けとして、Intel Foundry戦略の大きな一歩となる。
5つのうち後半にあたるプロセスノードは、Intelが「RibbonFET」と呼ぶGAA(Gate-All-Around)技術と裏面電源供給技術「PowerVia」を導入し、Intelはこれらのノードで半導体製造の最前線への復帰を狙う。これらのミドルプロセスノードは、基本プロセスを強化するハーフノードにすぎないと多くの人が考えてきた。しかし、IntelがIEEEシンポジウムの論文で論証したように、Intel 3は技術と性能効率の点で完全なノード移行を実現しており、Intelと他の業界の両方に利益をもたらすものである。
半導体製造プロセスノードは最近まで、ムーアの法則に忠実にのっとってきた。この法則では、トランジスタ設計、リソグラフィー、材料技術というイノベーションの3本柱を大幅に強化することで、半導体企業がトランジスタ密度を平均2年ごとに実質的に2倍にすることができ、性能や電力効率の向上につながるとしている。
各ノードは半導体設計の配置、具体的にはゲート長を表していたが、現在はより一般的な表現である以前のプロセスノードに変更されている。各ノードの性能効率は、平均で約15%向上している。プロセスノードと次のプロセスノードの間には、製造工程における学びから得られたプロセスの向上、つまりハーフノードがある。ハーフノードでは通常、性能効率が最大5%向上し、歩留まりも向上している。
2030年までに黒字化を目指す、Intelのファウンドリービジネス
Intelが4年間で5つのノードを導入しようとしていることを考えると、一部のノードを単なるハーフノードと見なすのが妥当とも思えるが、そうではない。
まず指摘すべきは、Intel 3プロセスがIntelの内部顧客と外部のファウンドリー顧客の両方にとって重要であることだ。Intel Foundry Groupの体制とともに発表されたように、社内外の顧客向けの製造は全て、ファウンドリー製造として請求されることになる。つまり、Intelの製品グループは製造コストを意識する必要があり、Intel Foundryは他の半導体ファウンドリーと競って利益を上げる必要がある。
Intelは、Intel Foundryの最初の財務リリースで、ベースラインを2年前にさかのぼって定め、Intel Foundryが2023年に70億米ドルもの巨額の損失を出したことを明らかにした。しかしIntelは、新しい財務構造と、ファウンドリー製造およびパッケージングサービスの強化によって、Intel Foundryは2030年までに黒字化すると予測している。Intel 3プロセスノードは、その移行における重要なポイントである。
Intelは一部の古い工場で、成熟プロセスノードであるIntel 16での製造ファウンドリーサービスの提供を開始しているが、初の先進プロセスノードであるIntel 3ノードは、米国オレゴン州およびアイルランドのより先進的な工場でサービスを開始するという。Intel 3は、性能を重視した「Pコア」と効率を重視した「Eコア」の両方を備えた、新しい「Xeon 6」サーバプロセッサに適用するプロセスでもある。Intel 3には外部顧客もいるが、Intel によると、その詳細は秘密保持契約下にあるという。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.