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「MIPSらしさを貫く」 データ移動技術でAI分野に攻勢MIPS CEO Sameer Wasson氏(1/3 ページ)

2018年以降、MIPSコアからRISC-Vへと軸足を移したMIPS。MIPSはRISC-Vコアだけでなく、より高速な演算や低い消費電力へとつながる「データ移動」の技術で、AI(人工知能)分野に攻勢をかけようとしている。

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MIPSの鍵は「データ移動」

 MIPSは現在、アプリケーションに特化した同社のデータ移動(data movement)コアのターゲットをAI(人工知能)アプリケーションに据え、自社の強みを慎重に見極めながら進化している。MIPSのCEO(最高経営責任者)を務めるSameer Wasson氏は米国EE Timesに対し、「RISC-Vの競合他社も、公式、非公式の違いはあれど、ほとんどがAIに大きく軸足を移しているため、MIPSは選択を迫られた。当社が行った選択は、他社がうまく解決できていない問題に目を向け、その問題を当社の強みで解決することだった」と語った。

MIPS CEOのSameer Wasson氏
MIPS CEOのSameer Wasson氏 出所:MIPS

 MIPSにとって、これはデータ移動を意味する。データ移動は、MIPSの歴史と専門知識に深く組み込まれたものであり、高性能なAIチップとシステムにとって絶対に不可欠なものである。

 Wasson氏は、「当社が解決したい問題は、最高のデータ処理エンジンを構築することである。これは、AI IP(Intellectual Property)と比較すると話題性がないミッションかもしれないが、目立たずに開発を進められる状況であるため、率直に言って非常に快適だ」と述べている。

 同氏は、「顧客は長い間、データ移動のために独自のコアを構築してきた。MIPSは、これらの独自コアを置き換えたいと考えている」と付け加えた。

 Wasson氏は、「(AI)アーキテクチャは進化の必要がある。データ移動エンジンはDPU(Data Processing Unit)になり、CPUまたはGPUからのオフロードが鍵になる。そうすることで、300ギガビット/秒(Gbps)や3テラビット/秒(Tbps)など、求められる速度を実現できるようになる」と述べる。

 より効率的なデータ移動が実現できれば、CPU、GPU、アクセラレーターの使用率が向上し、データセンターの電力消費に対処するのに役立つ。また、データ移動が効率的になることで、熱に関する考慮事項も改善する。

 MIPSは、今日のデータセンター向けAIシステムにDPUコアの機会を見いだしている。これには、ホストCPUからのデータ移動のオフロードの他、MIPSの「smartNIC(Network Interface Card)」の顧客の1社が行っているような、並列処理とマルチスレッドを使用したネットワークデータのインライン処理が含まれる。データ移動のための新しいアプリケーションには、GPUやカスタムAIアクセラレーターに加えて、AIメモリやストレージがある。

 Wasson氏は、PPA(性能、消費電力、面積)に最適化されたMIPSのマルチスレッドRISC-Vコアがうまく機能する、インテリジェントCXLファブリックやインテリジェントDIMMなどの新しいメモリ技術の可能性に特に期待しているという。

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