「半導体産業で全国を連携」 SEMI設立の協議会が初会合:58の自治体/団体が出席(1/3 ページ)
2024年10月8日、「全国半導体地域連携協議会」の第1回会合が都内で開催され、58の自治体/団体が参加した。同協議会は、半導体産業による地域経済の活性化を目的としてSEMIが2024年9月に設立した。
SEMIジャパンは2024年10月8日、同年9月に設立された「全国半導体地域連携協議会」の第1回会合を都内で開催した。
同協議会は、半導体産業による地域経済の活性化を支援するためにSEMIが設立したもの。「半導体産業への投資による経済効果を、九州や北海道など一部の地域だけでなく全国に波及させるためには、地域を越えた連携と情報共有が有効になる」との考えから、設立に至った。
8日の第1回会合では、国内から58の自治体/団体がオンラインとオフラインで参加する中、経済産業省が半導体戦略や東北での半導体エコシステム形成について講演した他、SEMIジャパンが半導体市場予測などを紹介した。
SEMIジャパンで代表取締役を務める浜島雅彦氏は、「生成AI(人工知能)の普及などにより半導体需要は増加の一途をたどっている。半導体工場への投資も活発で、2023年から2027年までの4年間で、世界で108の工場が新設、拡張される見込みだ。長年、半導体業界に従事しているが、こんな数は見たことがない」と述べ、半導体産業への投資が加速していることを強調。SEMIジャパンとして、全国の自治体と連携しながら業界を盛り上げていくと語った。
なお、第2回会合は2024年12月に開催される「SEMICON Japan 2024」(12月11〜13日)の会期中に開催する予定だ。
半導体市場は2025年から力強い回復を見込む
SEMIジャパンは、エレクトロニクスと半導体の売上高予測を紹介した。2024年第1四半期におけるエレクトロニクス分野の売上高は、前年同期比2%減、前四半期比で14%減だったものの、同年第3四半期からは回復基調に向かうという。半導体売上高は前四半期比2%減、前年同期比25%増だった。特にメモリの売上高は回復が大きく、前年同期比79%増となった。半導体はAI需要にけん引されて、第2四半期、第3四半期ともに、より高い成長が見込まれるとする。
半導体の在庫水準は安定していて、工場稼働率も2024年第1四半期で底を打ち、改善傾向にある。「AIデータセンター向け需要が強く、メモリ工場の稼働率が改善したことが主な要因」(SEMIジャパン)とする。
2024年の半導体製造装置市場については、前年比3.4%増の1090億米ドルに達し、過去最高の規模になると予測する。2024年第1四半期までの地域別出荷額では、中国向けが圧倒的に多いことにも触れ、中国のウエハーファブ装置(ウエハープロセス処理装置、ファブ設備、マスク/レチクル製造装置)市場がいまだに巨大であることを示した。
ウエハーの出荷動向については、「2024年第1四半期で底を打ち、2024年を通して着実な回復を見込んでいる」と説明した。それでも、同年第2四半期のウエハー出荷面積は前年同期比で9%減だという。
半導体工場の投資については、欧州、日本、東南アジアで2027年までに大幅な増加が見込まれるとする。唯一減少するのが中国で、2024年の500億米ドルから、2027年は350億米ドルに下がると予測している。SEMIジャパンは、半導体製造装置の対中輸出規制などが背景にあると分析した。さらに、工場への投資が今後数年間は地域によって多様化するとの見方も示した。
SEMIジャパンは、半導体市場は2025年に力強い回復を遂げると予測した。「エレクトロニクス分野の最終需要の改善と、AIチップの需要増に支えられ、急反発ではなく穏やかな好転が続くだろう」(SEMIジャパン)
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