AI演算高速化に「光」 インターコネクト技術に挑む米新興:シリーズDで4億ドルを調達(1/2 ページ)
シリコンフォトニクス技術を手掛ける米スタートアップのLightmatterが、シリーズD投資ラウンドで4億米ドルを調達した。AI(人工知能)の演算量が増加する中、コンピュートチップ間では高速、広帯域幅の通信が求められている。Lightmatterは、この要求に応えるのが光インターコネクトだと強調する。
シリコンフォトニクスのスタートアップであるLightmatterが、シリーズDの投資ラウンドで4億米ドルを調達した。資金調達後の企業価値は、44億米ドルに達する見込みだ。米マサチューセッツ工科大学(MIT)からスピンアウトした同社は、ウエハースケールの光インターコネクトインターポーザ「Passage」を開発し、光コンピュートから光インターコネクトへと方向転換した。また同社は、本社を米国マサチューセッツ州ボストンからカリフォルニア州マウンテンビューに移転したところだ。
LightmatterのCEO(最高経営責任者)であるNick Harris氏は、米国EE Timesの取材に対し、「今回調達した新たな資本は、われわれがPassageの膨大な需要に対応するためのスケールアップを支援してくれるだろう」と述べている。
同社は以前に、同社の光AI(人工知能)推論アクセラレーターチップ「Envise」を16個搭載した4Uサーバ「Envise 4S」を商用化している。Enviseと、それに対応するソフトウェアスタック「Idiom」は、現在もまだ同社のWebサイトに掲載されているが、製品カテゴリーからは除外されている。
Harris氏は、「Passageには驚異的な需要があるため、われわれはその対応に注力している。当社の使命は、何が起ころうとコンピューティングの継続的な発展を実現することである。既存の手法では性能を大幅に向上させることが難しいため、今後はコンピュートが重要な役割を担うようになるだろう」と述べている。同氏は、「Lightmatterは、間違いなく未来に投資している」と付け加えた。
コンピュートチップ間で高速、広帯域幅通信
Passageは、ウエハースケールのプログラマブルインターコネクトだ。標準的なCOW(Chip-on-Wafer)プロセスを適用し、最大48個のコンピュートダイを搭載可能で、Passageのレーザーやモジュレーター、光検出器を介し、コンピュートチップ間で高速/広帯域幅通信を実現することができる。
同社の目標は、光デバイスに付きもののパッケージングコスト/複雑性や、半導体チップに光ファイバーを取り付ける際に生じる歩留まりなどの問題を生じさせることなく、光インターコネクトをうまく利用できるコンフィギュラブルなトポロジーのスーパーコンピュータを実現することだという。
Harris氏は、「Passageは、既存のデータセンターにおける最大のボトルネックに対応する。既存のインターコネクト技術は、AIワークロードのスケーリングに不可欠な、広帯域幅かつ低レイテンシのデータ移動に対する需要の高まりに対応することができない」と述べる。
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