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液浸冷却に対応したアルミ電解コンデンサーを開発:AIサーバ用基板を効率よく冷却
日本ケミコンは、AIサーバ用基板を効率よく冷却できる液浸冷却手法に対応した「アルミ電解コンデンサー」を開発、サンプル出荷を始めた。2025年度より量産を開始する。
液浸冷却に対する気密耐性を向上させた封口ゴムを採用
日本ケミコンは2024年11月、AIサーバ用基板を効率よく冷却できる液浸冷却手法に対応した「アルミ電解コンデンサー」を開発、サンプル出荷を始めた。2025年度より量産を開始する。
データセンターで導入が進むAIサーバは、実装するCPUやGPUの高性能化に伴いチップ自体の発熱量が増大し、消費電力も桁違いの大きさとなってきた。これに伴い、冷却用の空調電力も増え、データセンター全体の消費電力が増加している。
例えば、クラウドデータセンターに設置されるサーバラックの消費電力は、最大でも10kW程度である。このため、冷却は空冷方式で対応できる。これに対し、AIサーバ用のラックは、消費電力が100kWを超えることもあるという。このような状況では、冷却効率に優れた液浸冷却方式の導入が不可欠とみられている。
こうした中、一般的なアルミ電解コンデンサーを採用した場合、サーバラックを液浸冷却すると、封口ゴムの劣化によって気密不良が生じ、短寿命になることが分かっている。そこで今回、液浸冷却に対する気密耐性を向上させた封口ゴムを新たに開発し、アルミ電解コンデンサーに採用した。既に、データセンター関連のユーザーからは浸透冷却に対する性能評価を得ているという。
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