「もう昔のAMDじゃない」 ロードマップの完璧な実行でシェア拡大へ:年次イベントでAI用製品を発表(1/2 ページ)
2024年10月に年次イベント「Advancing AI 2024」を開催したAMD。イベントでは、エンタープライズAIをターゲットに、ロードマップに沿った新製品開発を着実に実行するAMDの姿が垣間見えた。
AMDは、2017年に「Zen」プロセッサアーキテクチャを発表して以来、毎年秋に米国カリフォルニア州サンフランシスコでイベントを開催し、最新の「Epyc」サーバプロセッサの詳細を発表している。イベントのタイトルや内容は年々変化しているが、一貫していることが1つある。それは、AMDが目標を設定し、その目標を達成または超えることを続けていることだ。1回目のイベントは、同社にとってターニングポイントとなった。同社は、チャンスを無駄にすることで有名だった企業から、業界リーダーとなり、製品ロードマップの完璧な実行を代名詞とする企業に変わった。ご存じない方のために説明すると、これは、テクノロジー業界のトップCEO(最高経営責任者)の1人であるLisa Su博士が台頭することになった出来事でもある。
サーバ用CPUでじわじわとシェアを拡大するAMD
米国の市場調査会社であるTirias Researchは、この年次イベントの創設以来、参加する機会を得ている。2024年のテーマは「Advancing AI(進化するAI)」だった。同イベントが長年にわたってどのように変化してきたかを理解すれば、新製品の発表と同じくらい多くの洞察が得られる。最初の大きな変化は、AMDの市場での地位だ。2017年には、x86サーバCPUでのAMDの市場シェアは実質ゼロだった。ルーマニアの市場調査会社であるMercury Researchによると、AMDは現在、出荷台数で市場の4分の1弱、売上高で3分の1超を誇っている。さらに重要なことに、AMDはサーバCPUの成長で勢いを示し続けている。同社はPCやその他の製品分野でも市場シェアを伸ばしているが、サーバほど劇的な伸びではない。
2つ目の大きな変化は、AMDがデータセンター向けに提供する製品の幅広さである。Epycプロセッサから始まり、AIアクセラレーション向けの「Instinct」GPUや「Pensando」DPUへと製品の幅を広げている。AMDは2024年、Ryzen AI PC SoC(System on Chip)の新シリーズを追加し、このイベントをより広範なエンタープライズ向けイベントに拡大した。「Ryzen Pro」GPUと「Threadripper」ワークステーションCPUは、同カテゴリーの製品を発表していなかったため追加には至らなかったが、AMDはこれらの分野で競争力があり、特にワークステーション向けCPUではThreadripperが業界の明確なリーダーとなっており、注目すべき製品である。
2024年のイベントでは、最新の「Zen 5」アーキテクチャをベースとした「Epyc 9005」ファミリーのサーバプロセッサ(開発コードネーム「Turin」)が発表された。「Epyc 9004」シリーズと同様に、同ファミリーにはさまざまなクラスのワークロードをターゲットにした多くの製品が予定されている。
ただし、さまざまな構成を求める個別の要望があるため、Epyc 9004シリーズと完全には一致しない可能性もある。新しいEpyc CPUは、「Zen 4」世代と比べて最大コア数が50%増加しているが、TDP(熱設計電力)は25%しか増えていない。AMDによると、プロセスおよびアーキテクチャの効率とメモリ性能の向上を組み合わせることで、9005シリーズはIPC(クロック当たりの命令数)の17%向上と、AIとHPCの両方のワークロードの大幅な向上を実現したという。
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