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BroadcomはNVIDIAに次ぐ注目銘柄になり得るのか 半導体大手10社の現在地大山聡の業界スコープ(84)(1/3 ページ)

2024年の半導体大手メーカー10社の実績を振り返ってみたい。

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 2024年の半導体市場はNVIDIAに大きな注目が集まった。人工知能(AI)ブームを巻き起こし、今後の半導体/ハイテク業界がAIによって大きく変化して成長することが予測されるのは「NVIDIAがその火付け役になったから」と言っても過言ではないだろう。NVIDIAが2024年の半導体売上高ランキングで初の首位に躍り出たことは間違いないが、OmdiaやGartnerといった調査会社からはまだ2024年のランキング発表がない。その代わりと言っては何だが、調査会社Semiconductor Intelligence社が2024年7〜9月期の半導体売上高ランキングを発表している。こちらを参照しながら2024年の大手10社の実績を振り返ってみたい。なお、この10社の時価総額は、2025年1月13日時点の株価および、為替相場に基づいて算出したものである。

ダントツのNVIDIA 期待先行のBroadcom

 図1は、Semiconductor Intelligence社が発表した2024年7〜9月期の半導体売上高トップ10である。年間売上高では順位に変動があるかもしれないが、ある意味で「2024年の実態をよく表したランキングになっている」と筆者は感じている。


図1:2024年7〜9月期半導体売上高トップ10[クリックで拡大] 出所:Semiconductor Intelligence

 まずNVIDIAが首位に躍り出ていること。2024年の半導体市場はメモリと一部のロジックIC市場だけが好調だった。これはデータセンターにおけるAI機能に需要が集中したためで、NVIDIAの実績が突出していることがグラフからも読み取れる。年間でもNVIDIAは間違いなく首位だろう。

 Samsung Electronicsが2位にランクインしているのは、メモリ市況の好調さが同社にとって追い風になったことを物語っている。ただしメモリ市場で需要が特に盛り上がったのはGPU(AIプロセッサ)向けのHBM(High Bandwidth Memory)であり、Samsungはこの分野で競合他社に後れを取っている。年間でもSamsungは2位だと思われるが、得意とするメモリ市場で苦戦を強いられた点は、Samsungにとって大きな課題だろう。

 3位にBroadcomがランクインしていることは、2024年の1つの特徴と言って良いだろう。Broadcomはデータセンター向けのソリューションを得意にしている。GAFAMなどの大手ITベンダーはいずれもデータセンターにBroadcomのソリューションを活用している。しかしその割には、Broadcomの半導体売上高は前年比1桁の成長にとどまっており、どちらかといえばBroadcomに対しては株式市場からの期待値が先行しているように見える。この点については後述する。

*GAFAM:Google、Apple、Facebook、Amazon、Microsoft

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