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バイデン政権の置き土産 「CHIPS法」の効果を検証する:米シンクタンクが報告書を発表(2/4 ページ)
米シンクタンクが、CHIPS法(CHIPS and Science Act)の効果を評価する報告書を発表した。これまでに助成が確定あるいは覚書を締結したプロジェクトが不可欠だったかどうかを、率直に評価している。
20のプロジェクトを評価
報告書では、以下のように、CHIPS法による補助金の評価を時系列にまとめている。当該企業または国内の競合他社が、CHIPS法の助成金(場合によっては譲許的融資による補完)がなくてもプロジェクトを遂行できたかどうかを評価している。
- プロジェクト1:BAE Systems Electronic Systems:本報告書の見解では、BAEの財務状況が明らかに堅調であることや、チップの成熟度、国防総省の豊富な財源を考慮すると、CHIPS法の助成金は、確実な国内供給を保証するために不可欠ではなかった
- プロジェクト2:Microchip Technology:本報告書の見解では、コロラド州とオレゴン州で製造される成熟チップの国内生産を確保するために、CHIPS 法の1億6200万米ドルの助成金は不可欠ではなかった可能性がある
- プロジェクト3:GlobalFoundries:本報告書の見解では、ギリギリの状況ではあるものの、CHIPS法の助成金と融資は恐らく、GlobalFoundriesの2つの工場にとって不可欠ではなかった
- プロジェクト4:Intel:本報告書の見解では、CHIPS 法の助成金と融資はIntelのプロジェクトにとって不可欠であった可能性がある
- プロジェクト5:TSMC:本報告書の見解では、CHIPS法の助成金と融資は、敵対的措置の脅威なしに米国での生産にTSMCを誘致するために恐らく不可欠なものだった
- プロジェクト6:Samsung Electronics:本報告書の見解では、CHIPS法の助成金は、米国での生産にSamsungを誘致するために不可欠だった可能性がある
- プロジェクト7:Micron Technology:本報告書の見解では、CHIPS法の助成金と融資は、Micron のメモリチップ生産を拡大するために不可欠であった可能性がある。TSMC、Samsung、SK hynixを誘致して米国で同様のメモリチップを製造するには、同等の補助金パッケージが必要だった可能性がある
- プロジェクト8:Polar Semiconductor(1億2300万米ドル):本報告書の見解では、PolarへのCHIPS法の助成金は、センサーおよびパワーチップを米国で生産するために不可欠なものではなかった可能性がある
- プロジェクト9:Absolics(7500万米ドル):本報告書の見解では、AbsolicsへのCHIPS法の助成金は、米国領土における高度なATPサービスには不可欠ではなかった可能性がある
- プロジェクト10:Rocket Labs(2390万米ドル):本報告書の見解では、CHIPS法の助成金は、米国領土での宇宙グレードの太陽電池の生産には恐らく不可欠ではなかったと思われる。
- プロジェクト11:Entegris(7500万米ドル):本報告書の見解では、CHIPS法の助成金は、Entegrisが米国に新しい製造施設を建設し、サプライチェーンを国内化するよう説得するために不可欠だった可能性がある。商務省の発表では、米国の代替サプライヤーについては言及されていない
- プロジェクト12:Rogue Valley Microdevices(670万米ドル):本報告書の見解では、GlobalWafersの存在を考慮すると、CHIPS法の助成金は、同社による米国内での300mmウエハーの生産には不可欠ではなかった可能性がある
- プロジェクト13:GlobalWafers(4億米ドル):本報告書の見解では、GlobalWafersに対するCHIPS法の補助金は、米国内で300mmウエハーを生産するために不可欠だった可能性がある
- プロジェクト14:Amkor Technology(4億米ドル):本報告書の見解では、SK hynixの工場が進行中であるため、Amkorに対するCHIPS法の助成金と融資は、米国内に高度なATP施設を確保するために必須ではなかった可能性がある
- プロジェクト15:SK hynix(4億5000万米ドル):本報告書の見解では、CHIPS法の助成金と融資が不可欠だった可能性がある
- プロジェクト16:Texas Instruments(16億米ドル):本報告書の見解では、25%の投資税額控除は、Texas Instrumentsが3つの新しい工場を立ち上げるためには恐らく不可欠だった。ただし、同社の強固な財務基盤を考慮すると、助成金と優遇融資は必須ではなかったかもしれない
- プロジェクト17:HP(5000万米ドル):本報告書の見解では、プロジェクトの研究開発の側面から、助成金はHPが施設を近代化し拡張するために不可欠である可能性がある。HP独自のマイクロ流体技術は、他の国内企業が同様のプロジェクトに着手できなかったことを示している
- プロジェクト18:Edwards Vacuum(1800万米ドル):本報告書の見解では、この助成金は、Atlas Copcoほどの規模の親会社にとって決定的なものであるには少なすぎたと思われる
- プロジェクト19:Wolfspeed(7億5000万米ドル):本報告書の見解では、CHIPS法の助成金は、米国における炭化ケイ素(SiC)パワー半導体の生産拡大に不可欠であった可能性がある
- プロジェクト20:Infinera(9300万米ドル):本報告書の見解では、CHIPS法の支援は、米国の光半導体生産の拡大に不可欠であった可能性がある
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