FPGAはAIデータセンターの新たな選択肢になるのか:NVIDIAに挑む米新興(1/3 ページ)
データセンターAIシステムのスタートアップPositronは、FPGAベースのソリューションで、NVIDIAのGPUに対抗しようとしている。同社の技術と戦略について聞いた。
データセンターAIシステムのスタートアップPositronの創設者であり最高技術責任者(CTO)を務めるThomas Sohmers氏は、米国EE Timesの取材に応じ、「当社は設立からわずか18カ月で、2024年夏から既にFPGAベースの大規模言語モデル(LLM)推論システムを顧客に出荷している。最近では、数百万米ドル規模で受注した当社初となるシステムを、ティア2のCSP顧客に提供したところだ」と述べている。
「2025年は非常に幸先の良いスタートを切ることができた。この顧客をはじめ、他の多くの顧客も、同年前半に大きく規模を拡大していくと期待している」(Sohmers氏)
また同氏は、「現在、さらに20社の潜在顧客が、PositronのFPGAベースのAIアプライアンス『Atlas』を直接またはリモートで評価しているところだ。当社の顧客企業には、オンプレミス/コロケーションインフラを稼働させている企業や、ティア2のクラウドサービスプロバイダー(CSP)などがある」と述べている。
さらに、「われわれがこれまで、特により大規模な導入について話し合いを持ってきた企業の大半は、CSPや、大規模なウェブサービスを提供する企業だ」と付け加えた。
NVIDIAベースのシステムから「シームレス」な移行を実現する
Positronは、Sohmers氏とチーフサイエンティストであるEdward Kmett氏が2023年4月に設立した。両氏とも以前は、AI推論のスタートアップであるGroqの社員だったという。Positronは2025年2月初めに、AI CSPを手掛けるLambda出身のMitesh Agrawal氏を新CEOとして選任し、2350万米ドルの資金を調達している。
Sohmers氏は、「われわれはPositronの設立時に、たった2つの重要な点を注視した。それは、NVIDIAベースのシステムから完全にシームレスなエクスペリエンスを確保するという点と、市場投入までの時間およびコストだ。われわれが非常に多くのAIチップスタートアップで目にしてきた失敗のポイントが、市場投入までの時間とコストが掛かりすぎるという点だった。当社は独自のAI推論アクセラレーターASICの開発を手掛けているが、第1/第2世代のAtlasシステムはFPGAベースである」と述べている。
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