ミネベアミツミが芝浦電子買収へ 「8本槍」戦略強化に向け:YAGEOに対抗する友好的買収
ミネベアミツミは2025年4月10日、温度センサーなどを手掛ける芝浦電子に株式公開買い付け(TOB)を実施すると発表した。台湾YAGEOによる敵対的買収に対抗する、友好的買収と位置付ける。
ミネベアミツミは2025年4月10日、温度センサーなどを手掛ける芝浦電子に株式公開買い付け(TOB)を実施すると発表した。公開買付期間は同年4月23日〜5月27日で、買付価格は1株当たり4500円。買収総額は約675億円を見込む。
芝浦電子は、サーミスター素子や、サーミスター素子を応用した温度センサーや湿度センサーなどを手掛ける。2024年3月末時点の売上高は324億円、営業利益は51億円、売上高営業利益率は15.8%。従業員は国内外合わせて約4300人。
芝浦電子に対しては2025年2月、電子部品ソリューションを提供する台湾YAGEOがTOBの実施を決定したと発表。YAGEOは、同意がなくとも2025年5月7日にTOBを開始する(いわゆる同意なきTOB)と表明していた。ミネベアミツミは、これに対抗する友好的買収だとし、買付価格も、YAGEOが提案する1株当たり4300円を上回る金額となっている。芝浦電子は4月10日、YAGEOによるTOB開始予定に対する反対の意見表明と、ミネベアミツミによるTOB開始予定に関する賛同の意思表明および、応募推奨を発表した。
ミネベアミツミは成長戦略として、8つの分野をコア事業とする「8本槍(やり)戦略」を掲げている。ベアリング、アナログ半導体、モーター、アクセス製品、センサー、コネクター/スイッチ、電源、無線/通信/ソフトウェアの8つだ。芝浦電子の製品や技術は5つ目(5本目)の槍となる「センサー」に相当するとして、買収の意義を強調。さらに、芝浦電子の温度制御技術は、電子機器/システムの大きな潮流である「4高(高電圧、高電流、高周波、高スピード)」に応えるために欠かせない技術であることも示した。
ミネベアミツミは創業以来、約60件のM&Aを行ってきた。特に直近の16年は積極的なM&Aが続いていて、ミツミ電機、エイブリック、日立パワーデバイスなど、29件の買収を完了している。
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